お父さまにこそ、学校をたずねていただきたい 「学校訪問」の際の心構え[高校受験]
2学期には「学校説明会」のほかにも「文化祭」「体育祭」「オープンキャンパス」「学校見学会」……など、学校を訪問する機会が多数あります。そこで今月は、学校を訪ねる時に気を付けていただきたいことをお話ししましょう。
■お父さまが学校を訪問する意味とは
私はここ10年くらい、毎年春と秋に神奈川県内のある塾で、高校受験を控えた保護者のかた向けにお話をしています。10年前は来場者のほとんどがお母さまでした。それが、数年前からお父さまの姿が見られるようになり、今年の春にはちょうど半々くらいの比率になりました。
お父さまがこんなにも熱心になっている理由は、やはり「我が子の将来が心配」ということにあるのでしょう。大卒者の就職状況の厳しさが、新聞やテレビのニュースなどで頻繁に報道されていますから、保護者のかたが、我が子の将来を不安に思うのも当然といえます。
しかし、お父さんはご家庭のリビングで「受験案内」を見たり、ウェブサイトの数字で学校を比較・検討したりすることには熱心でも、自分で学校に足を運ぶことはまだ少ないように思います。
「その学校を訪れた数時間で何がわかるというのか。校風で選べとはよくいわれるが、これは無責任かつ非科学的だ。客観的な偏差値や、大学合格実績で選択することこそが合理的だ」といったことを言うお父さまが少なからずいるのも、学校を訪れることが少ない背景かと思います。
週刊誌やビジネス誌が頻繁に「大学合格者数ランキング」の記事を掲載しています。毎月のようにこうしたものの報道を見せられると、無意識のうちに洗脳されるようで、かなり高い割合で「大学に合格させる力=高校の教育力」ととらえているお父さまがいます。
また、私立高校では広告に「国公立・早慶上智50%をめざす」「スーパー特進コースは国公立・早慶上智へ100%現役合格」などと表現しているのですから、お父さんが「大学に合格させる力」こそが「私立高校の教育力」と思うようになっても無理のない状況です。
ですが、現在のランキングの数字はあくまで今春の卒業生(先輩たち)のものですし、いくらすばらしい実績の学校でも、全員が難関大学に進んでいるわけではありません。逆に、ランキング表に出ていない学校からも難関大学合格者は出ています。
こうした「マニフェスト」は、あくまで受験生を増やすための広報戦略として打ち出されているものだと、理解しておく必要があります(もちろん、こうした目標を達成するために、具体的にカリキュラムなどの対策を講じているという点では、よいことです)。
つまり、客観的に見ていい学校かどうかと、我が子に向いた学校かどうかは別問題なのです。大学進学も、結局のところは本人次第です。本当に重要なことは、我が子がそこでいきいきと充実した学校生活が送れ、伸びそうかどうかです。
そうしたことを判断するために、ぜひお父さまにも学校を訪ねていただきたいのです。