学校訪問で本当に見るべきところは?「学校訪問」の際の心構え[高校受験]
■学校の「世間的評価」と生徒の「満足度」は必ずしも比例しない
学校を訪れた時、いちばんに目に付くのは校舎や施設などのすばらしさや環境のよさであったりします。しかし、学校に訪れた時にしか見ることができない生徒、先生の様子こそ見てほしいと思います。
私も、最初は外からすぐわかる施設や設備など、学校の「容れ物」から学校を見ていました。が、100校、200校と学校を見ていくうちに通っている生徒、先生を見るようになりました。すると意外にも、それまで魅力的だと思っていた「難関校」や「有名校」、あるいは話題になっている学校の生徒が、あまりいきいきとしていなかったり、元気がなかったり、楽しそうではなかったりすることもあるのだと気が付きました。
たしかに、入試の難易度が高い、難関大学への合格者数が多い学校が、必ずしも子ども一人ひとりにとっては楽しく充実した学校であるとは限りません。学校の「イメージ」の維持を大切にして生徒を管理しているために、生徒が萎縮してしまっている学校もあります。大学合格実績を上げることを最大目標に、ひたすら勉強させているために、生徒が元気のない学校もあります。もちろん、生徒が元気でも、服装や髪形が乱れている学校もたくさんあります。
こうしたことはご家庭のリビングでの学校選びではわからないことです。ですから、学校を訪ね、生徒を見ていただきたいのです。
■オリジナルのテキストでわかる先生の「力量」
私は先生がたに接することも多いのですが、仕事に追われて疲れている学校、理事長・校長の目ばかりを意識している学校など、あまりいきいきとしていない先生たちの姿を目にすることもよくあります。
最近は、教材に注目しています。学校によっては、授業はもっぱら先生たちが自分たちで作ったオリジナルのテキストで行っている学校もあります。単に教科の内容を網羅しているだけではなく「教室はまちがえるところだ」の標語が書かれていたり、生物分野のテキストに医療従事者の生の声がたくさん載っていたり、生徒のモチベーションが上がるようになっていたりしました。多くの先生がこうした工夫をしているところに、この学校の先生の「力量」の高さを感じました。
全体を通して感じることは、先生がいきいきしている学校は、生徒も元気だ、ということです。もちろん、いきいきしているかどうかというものさしでなくても構いません。たとえば「きちんと明るくあいさつができる」「理知的な雰囲気の生徒が多い」「他校の生徒よりどことなく落ち着いている」など、自分がこうあってほしいという生徒像に近い生徒が多いかどうかを見てみることをおすすめします。また「一人ひとりを大切に」や「個性を伸ばす」といった表現は、多くの学校のパンフレットで目にしますが、それがあくまで広報としての表現なのか、学校全体のしっかりした土壌になっているのか、そうしたことも学校を訪れて初めてわかることです。