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「服に泥がついてしまった」「食べ物を大量に落としてしまった」──もし、子どもがそういった“ちょっとした”問題を起こしてしまった時、世の親は「何やってるのよ~! だからじっとしていなさいよ!」などと、厳しい言葉で注意することも多いはず。そんな風潮があるなか、ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども行う石川尚子さんは、とある母親の対応に感動したという。石川さんが、そんなエピソードを披露する。

 

***

 

先日、あるレストランで食事をしていましたら、隣の席に小学校低学年ぐらいのお子さんを連れたご家族がいらっしゃいました。和やかに食事をしている最中、お子さんがはしゃぎすぎたのか、テーブルの上に食べものを落としてしまいました。そればかりか、持っていたフォークまで床に落としてしまいました。

 

さて、こんな場面で、あなたならどう対応しますか? 小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、よくある状況かもしれませんが、わたしがこのあと見た光景は、なかなかお目にかかれないお母さんの姿でした。

 

わたしがよく見かける光景というのは……

 

「もう、何やってるのー? だから、『じっとして食べなさい』って言ったでしょう」と叫ぶお母さん、顔をしかめながら、親がテーブルの上の食べものを拾う、テーブルを拭く、「自分で拾いなさい」と言ってフォークを拾わせる、あるいは、「すみませーん」とお店の人を呼んで片づけをお願いする、「もう、良い子にしててよ!」とトドメをさす、こんなところでしょうか。

 

ところが、このお母さんの対応は、このどれにもあてはまりませんでした。

 

「あら、どうしたの?」──きわめて冷静に問いかけました。
「落としちゃった」
「うん、どうするの?」

 

(うわー! この、お母さん、拡大質問〔相手の考えを引き出す質問〕を投げかけたよ!)わたしは、こっそり観察しながら、内心、とても感動していました。

 

お子さんは、少し考えて、落ちた食べものをお皿に戻し、自分でフォークを拾いました。

 

(おお!!)と驚いているわたしの横で、フォークを持って立ちあがったお子さんは、お店の人のところまで言って声をかけました。

 

「すみません、落としちゃったんで、かえてください」

 

(す、すばらしい! そこまで自分でできるんだー!)

 

そんな我が子の行動を見守っていたお母さんは、お子さんがテーブルに戻ってくると、

 

「新しいのにかえてもらえてよかったね。これからはどうする?」

 

(うわー! さらに、拡大質問ですか!? お母さん!)

 

「落とさないように食べる」
「そうね。それだとお店の人にも迷惑かけないし、お母さんも安心」
わたしは、心の中で大きな拍手を贈っていました。

 

子どもが何かミスをしてしまった時、困っている時こそ、問題解決力をつけさせる絶好の機会ではないでしょうか。手を出さず、
「どうしたの?」
「どうしたら良いかな?」
と考える機会を与えたいものです。

 

出典:手を出しすぎていませんか? -ベネッセ教育情報サイト

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