受験校決めから学費まで 第1回 「進路希望調査」の結果を見てみる[高校合格言コラム]

「進路希望調査」の結果を見てみる

 都道府県によっては、今年の受験生の志望動向を探るために、秋に中学校を通じて中3生を対象とした「進路希望調査」を行います(名称は「志望予定調査」など都道府県によって異なります)。その結果が、年末から年初に教育委員会のHPで公表されます(調査しても一般には公表しないところもあります)。
 試しに、教育委員会のHPをのぞいてみてください。「報道発表」という項目にアクセスすると、探しやすいかもしれません。

 それを見ると、今年の受験生がどこに出願したがっているのか、おおよその傾向がつかめます。お子さんの受験予定の高校がどのくらいの人気なのかもわかるのです。
 私は仕事柄こうした調査結果をよく見るのですが、毎年、人気校が比較的一定している都道府県と、年により大きく変化するところがあります。ですから、お住まいの都道府県があまり変化しないところなのか、大きく変わるところなのかをおさえておけば、本番の出願者数も、前年のデータが参考になるのか、あまり当てにならないのかを、判断できるというわけです。

 神奈川県は既に公表されているので、例として見てみましょう。普通科について平成23年と平成24年を比較してみました(年度が平成25年となっていますが、これは調査が秋に行われたためで、平成26年度入試を受ける中学3生対象の調査です)。

■普通科の希望者の多い高校トップ10


 平成23年から平成24年にかけては入試制度が変わったために登場した高校が大きく変化していますが、平成24年から平成25年にかけては登場校はほとんど変わっていません。11校中7校が昨年もトップ10以内にあった学校です。新規は、港北、生田、横浜緑ヶ丘、厚木の4校。平成23年には「学力向上進学重点校」は1校もなく、それが平成24年には湘南、川和、横浜翠嵐、鎌倉と4校も入ったことが著しい変化でした。その傾向は今年さらに強まり、11校中5校になっています(鎌倉に替わって、横浜緑ヶ丘、厚木が登場)。

 こう見てくると、神奈川県は入試制度が変わらない年は比較的一定している県ということがいえます。お住まいの都道府県で何らかの入試制度の変更があるかどうか、いま一度チェックしてみてください。また、このような進学重点校に大勢の志望者が集まる傾向は、こうした指定校制度をとっている都道府県に共通して見られる現象です。ですから、お住まいの都道府県があまり変化しないのか大きく変わるのかどうかで、本番の出願者数も、前年のデータが参考になるのか、あまり当てにならないのかもかわってきます。

 次回は、志望校の定員についてお話しします。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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