日本の産業を支える「レアメタル」「レアアース」を知ろう

ニュースで聞いたり、新聞で目にしたりすることが多くなった「レアメタル」や「レアアース」。「レアメタル」とは、入手しにくかったり、めずらしかったりする(=レアな)金属(=メタル)のことをいい、その「レアメタル」の一部が「レアアース」です。一般にはまだなじみが薄い言葉かもしれませんが、「レアメタル」「レアアース」は、パソコンや携帯電話、液晶テレビなど、私たちの生活に密着した製品に欠かせない材料であり、21世紀の産業のカギを握るともいわれるものなのです。今回は、そのような「レアメタル」「レアアース」について調べてみましょう。


クイズde基礎知識

「レアメタル」とは、どのような金属?/「レアメタル」は、何に使われている?/「レアアース」の産出国は?/「レアアース」の安定した供給につながる技術とは?


時事問題を学ぶきっかけになる題材をクイズ形式でご紹介します。基本情報の整理に、親子で時事問題について話題にするきっかけに、入試・適性検査対策に、お役立てください。

Q1

次のうち、「レアメタル」に含まれない金属は?


A. 鉄
B. リチウム
C. インジウム


A1 正解は「A. 鉄」です。

「レアメタル」とは、埋蔵量が少なく、取り出すのが難しいなどで入手しにくく、最新の科学技術を支えるために必要とされている金属のことをいいます。一方「鉄」は、比較的入手しやすく、加工もしやすい金属です。

「レアメタル」は、さまざまな製品の材料として重要な金属で、経済産業省が47種類の金属の元素(化学的にこれ以上分解できない物質)を「レアメタル(希少金属)」と定めています(レアメタルの定義は、国などによっても異なり、54種類の金属の元素をレアメタルとする考え方もあります)。

また、「レアアース」は、「希土類(きどるい)元素」とも呼ばれ、化学的な性質が似ている17種類の金属の元素のことをいいます。「レアアース」は、すべて「レアメタル」に含まれます。



「レアアース」は海外でも通用する言葉ですが、「レアメタル」は日本で生まれた言葉で、海外では「マイナーメタル」などと呼ばれます。


Q2

レアメタルの一つである「ネオジム」は、強力な磁石の材料となります。それは、どのようなところに使われるでしょう?


A. 携帯電話のバッテリー
B. 液晶ディスプレー
C. パソコンのハードディスク


A2 正解は「C. パソコンのハードディスク」です。

パソコンのハードディスクは、磁石の力でデータを記憶します。たくさんのデータを記憶するには、強力な磁石が必要です。ネオジムは、強力な磁石になる金属として知られ、パソコンの他に、ハイブリッド車や電気自動車のモーターなどにも使われています。

Aの携帯電話のバッテリーには、リチウムというレアメタルが使われています。携帯電話には、小型で軽く高性能なバッテリーが必要なため、金属の中で最も軽く、電気のもとになるイオンに最もなりやすいリチウムが、携帯電話に適しているのです。

Bの液晶ディスプレーには、インジウムというレアメタルが使われます。液晶ディスプレーには、透明で電気を通すという性質を持つ材料が必要です。インジウムは、その材料を作るのに適した性質を持っています。

このように、レアメタルは、それぞれ優れた性質を持っており、特に最先端のモノづくりに重要な役割を果たしています。こうしたことからレアメタルは、21世紀の産業のカギを握るといわれているのです。





Q3

レアアースの産出国として知られている国は?


A. 南アフリカ
B. 中国
C. チリ


A3 正解は「B. 中国」です。

レアメタルは、自然界に鉱石の成分として存在していますが、世界の一部の地域でしか見つかっていないものが少なくありません。なかでもレアアースは、全世界の産出量の95%以上を中国が占めています。最近、中国がレアアースの輸出を制限する動きがあり、このため価格が高騰するなど、国際的な問題になっています。レアメタルのほとんどを輸入している日本では、このような問題を解決するために、輸入だけに頼らない、安定した供給のための対策が必要なのです。

Aの南アフリカは「白金」の、Cのチリは「リチウム」の産出国として知られています。また、中国は、太陽電池の原材料となるレアメタル「インジウム」など、いくつものレアメタルの産出国でもあります。
※国名は略称です。


Q4

2010年に発見された、レアアースのリサイクルにつながる技術に利用できるのは?


A. 微生物
B. セメント
C. 炭


A4 正解は「A. 微生物」です。

レアメタルの安定した供給のために有効な対策の一つが、レアメタルを使った製品からリサイクルする技術の開発です。2010年に広島大学の研究グループは、微生物を使ってレアアースを回収する技術を発表しました。現在のレアアースの回収に使われている技術には、環境に有害な物質が使われていますが、微生物を用いた方法ならその心配がなく、今後の応用が期待されています。

レアメタルやレアアースの代わりとなる物質の開発も、安定した供給のための対策の一つです。Bのセメントは「インジウム」の、Cの炭は「白金」の代わりとなる物質の材料として、研究が行われています。

また、レアメタルは現在採掘されている場所以外にもさまざまな場所に埋蔵されていることがわかってきており、新たな鉱脈の採掘も進められています。2011年の7月には、ハワイやタヒチ周辺の太平洋の海底にレアアースが豊富に存在すると、東京大学などの研究グループが発表し、話題になりました。


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