第1志望者占有率の高い学校の文化祭に行ってみよう[中学受験]

在校生は大人しくとも、イキイキしていて、元気な笑顔があれば、やる気を感じる。そんな生徒が多い学校はもちろん学校全体に活気がある。そのような学校を調べてみると、第1志望で入学した生徒の割合が多い学校であることが多い。ある学校で、第1志望で入学した生徒の割合が従来約50%であったが、突然約75%となった時に、生徒の活力に大きな違いを感じたというのだ。どうしてこのような顕著な差が生まれるのか?

入学した学校が第1志望でない生徒のことを考えてみると、本当に入りたい学校がほかにあったが不合格となったため、併願校に入学した不本意入学だったことになる。不本意入学の場合、生徒は入学当初からやる気を失い、友達ができずクラブ部活に参加する意欲もわかず、ひどい時には不登校になったりする。しかし、不本意入学であった生徒の多くは、第1志望でその学校に入学した生徒たちに引っ張られて少しずつ学校になじみ、活気が出てくるが、上記の学校の場合、第1志望者占有率が50%ということは、不本意入学者も同数なので、第1志望で入学した生徒の勢いのほうが勝っていたとしても数の上では同数で、時間がかかる。

偏差値の高い学校ほど第1志望で入学した入学者の率は高いと思われがちだが、実際にはそうではない。人気校の併願となっている学校は偏差値こそ高く、人気校を受験する生徒が多い為人気校と同じくらいの偏差値でありながら、人気校にギリギリで不合格となった生徒が入学しているので、第1志望者占有率が低くなる。偏差値が60以上の学校でも第1志望者占有率が20%以下という学校もある。その学校のアンケートで「入学前、我が子に合った学校だと思いましたか?」という設問に「はい」と回答したのは55%であった。第1志望者占有率が70%の学校では93.5%だったので、大きな違いがある。
しかし、入学から2か月以上たった中1の6月ごろに「入学後、我が子に合った学校だと思いましたか?」とアンケートしたところ、「はい」という回答が86%と大幅に改善していた。入学から2か月の間に、学校は生徒がより良い学校生活を送れるように、学校に馴染むための行事などを行ったそうだ。しかし、在校生を観察すると、全体的に大人しくて素直そうだが、イキイキしている子が少ない。

ここで、第1志望者占有率が高い学校に入学したことを考えると楽しい学校生活が送れるのではないかと思う。特に、併願校を選ぶのであれば、第1志望者占有率が高い学校が良い。自分自身が不本意入学でも周りの生徒がイキイキしていればそれだけで楽しくなる。親としては安心できる学校だ。第1志望者占有率が高い学校が身近にあれば、ぜひ、文化祭に参加して、在校生がいかに活気に満ちているかを確認してほしい。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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