学校案内(パンフレット)による学校情報の収集 [中学受験]

学校を理解するうえで、学校案内のメリットは、複数の学校を同時に比較することができることだ。学校説明会はそうはいかない。理解力に優れ、記憶力が抜群に良い保護者は別だが、通常は3校以上の説明会に参加すると、メモを取っていても、どの学校がどうだったかわからなくなってしまう。学校案内は、学校を理解し、志望校を選定するうえでの役割は大きい。

にもかかわらず、最近の学校案内は写真の割合が増えてきて、解説が少なく、「あとは写真から想像してください」と言われているようで不親切とも思える。そうでなくとも学校が行っている学校情報の発信量は少なく、なかなか収集するのは難しい。本来は、学校の説明書となるべき学校案内であるからには、受験生・保護者が必要とする情報をきめ細かに説明するべき解説書という側面が必要なのではないか。

学校はもっと、学校情報をきちんと提供すべきだと述べたが、写真が多くなったことで学校案内に不足している文章や表・グラフの情報は、資料集などで補足している学校も多く見受けられる。写真を多用した学校案内では、学校全体をイメージで理解してもらい、詳しい情報を知りたい受験生・保護者には別冊の資料集などを見てもらうような役割分担になっているのだ。これは、受験生・保護者にとってはありがたいことだ。

学校を理解することが難しいという受験生・保護者が多いが、学校案内で何を知りたいのだろうか。また何がわかりにくいのだろうか。ある学校の在籍者の保護者に、中学受験当時を振り返って、知りたかったことを聞いてみた。学校案内で知りたかった内容は、教育方針(66%)、校風(60%)、入学後の学校生活のイメージ(40%)、我が子に合った学校かどうか(33%)の4要素で、( )内の数字は重要度を示したものではなく、学校案内を読んで理解できた保護者の割合である。
教育方針や校風は比較的わかりやすいが、「入学後の学校生活のイメージ」や「我が子に合った学校かどうか」がわかりにくいということになる。それらのわかりにくいことは、文章よりも写真のほうが伝えやすいので、学校案内に写真が多く使われているのだろう。にもかかわらず、まだ、理解できない保護者が大半ということになる。

教育方針や校風はまだしも、「我が子に合った学校かどうか」や「入学後の学校生活をイメージすること」を学校案内だけで理解することは難しいのだろう。学校案内でわからないところは、学校説明会や文化祭などで学校に出向いて調べればよい。しかし、学校案内を見ないで学校を訪問しても、何を調べればよいのかがわからない。複数の志望校の学校案内を比較すると知りたいことがおのずと浮かぶはずなので、在校生や教職員、そして学校の雰囲気を見て、それを感じれば、学校を理解することができる。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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