6年生夏前までは、偏差値60前後だったのが……[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6女子(性格:論理的)のお母さま


質問

読書が好きで、6年生夏前までは、偏差値60前後だったのが、それ以降どんどん降下し、ついには偏差値40台前半まで落ち込みました。特に記述問題で、何も書くべきことがうかんでこない、何が書いてあるのか問題文が理解できなくなっている、といった様子なのですが、どうしたものでしょうか。


小泉先生のアドバイス

難しい問題文に慣れることが一番

今まで良かったのに、6年生になってから急に成績が落ちてくることがあります。しかもその落ち方が激しく、生徒本人もどうしたら良いかわからないほどです。こうした症状は、本格的な入試問題に取り組むようになってから起きる場合が多く、乗り越えなくてはならない≪受験の壁≫の一つと言えます。

まず算数の場合ですが、単元が一応終了し、いよいよ入試問題演習に移る時に起こりがちです。原因としては、今までのテストが単元ごとのカリキュラムテストであったのが、単元がバラバラに出てくる入試演習になるからです。出題されている問題の単元がわからずに、何を使って解いたら良いかわからないのです。当然、テストの成績は急降下します。
しかし、これも入試問題に慣れてくれば、「食塩の問題」なのか「速さの問題」なのか徐々に単元がわかるようになってきます。単元がわかれば、使うべきもの、たとえば「天びん算」なのか「ダイヤグラム」なのかがわかってきます。入試問題をどんどん解いて、早めに問題慣れすることをおすすめします。

次に国語の場合ですが、やはり「問題文」や「問い」が難しくなったことが考えられます。お子さまは読書が好きということですし、「何が書いてあるのか問題文が理解できなくなっている」という質問内容からも、特に説明文や論説文の内容が急激に難しくなったためと考えます。一般的に、読書が好きな小学生でも読むのは物語が多いでしょう。説明文は教科書や塾の教材には出てきますが、5年生まではそれほど難しくはありません。
ところが実際の入試問題に出題される問題文は、非常に難解な文章(特に論説文は)が出ます。最難関の御三家レベルでは、「大学受験か?」と思われる内容が出題される場合もあるほどです。塾や模擬試験の問題も入試が近付くにつれて、どんどんその難度を増していきます。これが国語の問題文における、≪受験の壁≫と言えるでしょう。

国語のこの壁を越えるためには、やはりこうした難しい問題文に慣れることが一番です。そして慣れるための方法としては、「頻出のテーマ」に関する知識をできるだけ多く身に付けることが一つの方法です。
実は中学入試にも、よく出るテーマというものがあります。説明文では、「自然・環境」や「動植物」の話題が多く出題されます。また、論説文では、「文化・習慣」や「言語・コミュニケーション」あるいは、「文学・芸術」の話題(テーマ)が多いでしょう。お子さまはおそらく、論説文におけるこれらのテーマに苦しめられていると思いますから、それらに関する知識を増やすことで、徐々に難しい問題文が読めるようになってくると思います。
たとえば、「言語・コミュニケーション」をテーマとした問題文では、「英語やドイツ語、フランス語などでは、一人称の代名詞はそれぞれI、ich、jeなど一語しかないが、日本語では『わたし』『自分』『手前』『僕』『おれ』などと多様である。これは、個人の社会との関わり方の違いであり……」という内容が出てきます。その意味を知識として持つことで、関連の問題文がはるかに読みやすくなるのです。
中学入試の頻出テーマに関してまとめたものとしては、拙著『中学受験 必ず出てくる国語のテーマ』(ダイヤモンド社)があります。こうした本で頻出テーマの知識を持つことで、そのテーマに関する問題文が読みやすくなるとともに、論説文に対する苦手意識が減少してくるでしょう。そして、あまり知識のないテーマの文章に対しても、理解しようと意欲的に読み進めることができるようになると思います。これは、得意な単元をいくつか作ることで、算数全体を得意科目にする方法と同じです。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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