入試問題でも問われる「思考力・判断力・表現力」[今年は中学校が大きく変わる年 第3回]
考える力を日常生活でも養う
学習指導要領の改訂は入試問題にも影響してきます。
次に挙げたのは、平成23年度前期の埼玉県公立高校の国語の入試問題の一部です。
次の資料は、「コミュニケーションについて、自分に当てはまるものはどれですか。」という質問について、中学生と高校生を対象に調査し、その結果をまとめたものです。
国語の授業で、この資料をもとに、「身に付けたいコミュニケーション能力」という意見発表をすることになり、一人一人が自分の考えを文章にまとめることにしました。あとの(注意)に従って、あなたの考えを書きなさい。
《中略》
(注意)
(1) 段落や構成に注意して、自分の体験(見たこと聞いたことなども含む)を踏まえて書くこと。
(2) 文章は、十三行以上、十五行以内で書くこと。
(3) 原稿用紙の正しい使い方に従って、文字、仮名遣いも正確に書くこと。
(4) 題名・氏名は書かないで、一行目から本文を書くこと。
埼玉県立総合教育センターホームページより引用 http://www.center.spec.ed.jp/?page_id=432
いかがでしょう。ここではまさに、「自分で考え、表現する」ことが求められているのです。ここでは埼玉県を例に挙げましたが、多くの都道府県の公立高校の入試問題には早くも新しい学習指導要領で伸ばそうとする力を問う問題が出題されています。
新しい学習指導要領で学んだ生徒が受ける年は、入試にこのような問題が一段と増えることが予想されます。先にも言いましたように、こうした問題は、机に向かって問題集を解くだけでは太刀打ちできません。普段から考えるクセをつけ、また考えたことを文章化することをやっていないと、できるものではありません。
また、「自分の体験(見たこと聞いたことなども含む)を踏まえて」とあるように、抽象的な言葉で埋めればいいというものでもありません。日常生活の中で、いろんなことにぶつかり、その場その場で自分なりに考えることをしているかどうか、そうした経験が豊かか乏しいかで、書ける分量も、スピードも違ってきます。
このように、入試のことを考えても、前回お話しした、日常生活の中で「子ども自身に考えさせ、どうするか判断させ、自分の意見を言わせる」ことが必要なわけです。時事問題や身近なところに題材を取った問題などについて記述させることが多いですから、TVのニュース番組を親子で一緒に見て、その時意見を述べ合う習慣を付けるといいでしょう。
そうはいっても、お子さまがいきなり自分の意見を言うことはまずないでしょうから、最初は保護者のかたがそれぞれ別の意見を述べ、徐々に会話を交わす環境をつくっていってはどうでしょう。意見を言うのが大変だったら、まずは事実関係を述べるところから始めてみてください。