算数との偏差値が15ポイント位離れていて、とてもアンバランスになっています。[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小5男子のお母さま


質問

そこそこ読書をしているのに、物語文等で、登場人物の心情やその変化が読み取れません。あれほど難題な算数には粘り強く取り組むのに、なぜ国語の文章は深く読めないのかが疑問です。併せて、記述も悲惨な状況です。内容を丁寧に書きません。算数との偏差値が15ポイント位離れていて、とてもアンバランスになっています。漢字はとても良くできます。暗記は得意です。


小泉先生のアドバイス

科目間バランスの悪さは、合格最低点のクリアーをさらに難しくする

お子さまは難関校を目指しているとのことですが、科目間バランスの悪さは、合格最低点のクリアーをさらに難しくします。なぜなら、1つの科目の穴を他の科目で埋めることはなかなか難しいからです。
たとえば、今年の開成中学校の算数はかなり簡単でした。お子さまのように算数が得意なお子さまにとっては、非常に厳しい試験であったと言えます。それは、多くの生徒さんが算数で高得点をあげるので、算数で差が付けられないからです。このような例を考えても、苦手科目は作ってはいけないことが理解できると思います。

それではなぜ、アンバランスが生じるのでしょうか。「算数との偏差値が15ポイント位離れてい」るということは、たとえば算数の偏差値が60で国語の偏差値が45ということです。「なぜ?」と疑問になるくらいの差ですが、案外、このような生徒さんは多いのではないでしょうか。わたしは国語の専門塾を運営していますが、「なぜか国語だけができない」生徒さんが少なからず在籍しています。しかし、2か月間、6回の短期指導を行うと、多くの生徒さんが伸びて行きます。特に、漢字や慣用句などの語彙(ごい)力がある生徒は期待できます。彼らの共通点を考えると、国語ができない原因が浮かび上がってきます。

一つ目の原因としては、そのような生徒さんは「国語を感覚としてとらえている」ようです。受験の国語には、物事を論理的にとらえる姿勢が必要です。すなわち、読む時にも解く時にも「方法論」に沿って考えることが大切なのです。それらの方法論は学校や塾でも指導されている(はず)と思いますが、国語の苦手な生徒はあまり身に付けていないのです。それは、我々が何かを学ぶ時には、「自分で学びたいものしか学べない」からだと思います。すなわち、先生が論理的に教えても、「国語は論理的には解けない」と思っている生徒には、なかなか伝わらない可能性があるということです。そのような生徒さんは、「国語の方法論を教えて」「実際に使わせて」「解けた実感を味わわせる」というステップを踏まないとなかなか納得できないのでしょう。しかし、一旦それらが身に付けば、急激な勢いで国語力が上昇する可能性はあります。

もう一つの原因は、何と言っても国語に関する学習時間の不足でしょう。たとえば、国語が苦手な生徒の多くが、塾で国語の授業がある場合のみ予習し、授業を受けて、その後間違えたところをちょっと復習する程度しか国語の勉強をしません。おそらく算数の1/4かあるいはそれ以下の時間数しか国語を勉強していないようです。あるいは、漢字やことわざなど語彙の強化にのみ時間を費やしているかもしれません。確かに、中学受験では算数が要だと思います。しかし、国語の方法論をしっかり学び、模試などの復習を徹底的に行うことをしないと、国語の成績はなかなか伸びないものです。

最後に、学習効率について考えます。たとえば、全体としてあと10点ほど点数を上げたかったとしたら、得意科目と苦手科目のどちらを上げたほうが効率的でしょうか。答えは当然「苦手科目」です。苦手科目では、少し時間をかければ伸びる部分がたくさんあります。他の生徒ができているのに、自分ができていないから偏差値が相対的に低いのです。そして、他の生徒ができているところは、当然、マスターするのが簡単なものが多いのです。これだけを考えても、苦手な国語の偏差値をまずは上げるべきことを納得できると思います。ぜひ、国語力のアップに力を入れてください。論理的な方法論を学べば、成績は向上していくと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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