高校合同説明会の上手な参加のしかた(2) 資料ではわからない「学校生活」の質を知るには [高校受験]

前回に続き、主に中学3年生を対象に、6月頃から全国で行われ始める「高校合同説明会」の、上手な参加の仕方について取り上げます。





■あえて漠然とした質問で「考え方」を聞き出す

合同説明会のよさは、現場の先生にじかに質問することで、校風や文化を、ある程度肌で感じとれるということです。

たとえば進学実績が同程度だったとしても、どのような指導でその結果を出しているかは学校によって異なります。ノートを提出させて家庭学習の内容をチェックする学校もありますし、定期テストの順位を貼り出し、結果を競わせる学校もあります。学ぶことのおもしろさや、問題点を見いだす力を引き出すことに指導の重点を置いているけれど、勉強法は各自のやり方に任せるという学校もあるでしょう。

本来、大切なのは、進学実績そのものよりも、大学卒業後も子どもが伸びるような、将来を見据えた指導です。しかし、「子どもの将来を考えて進路指導を行っていますか」と質問したら、先生方からは100%「行っています」という答えが返ってくることでしょう。
そこで、「進路指導は、どんな感じでやっているのですか」など、あえて漠然とした質問を投げかけるのもひとつの手です。そのうえで、実際の施策について具体的に話してもらうと、そこから学校の雰囲気や方針が見えてきます。



■「面倒見のよさ」と、「自主性の育成」は矛盾する?

ここで注意したいのは、子どもがどんな環境でならいきいきと成長できそうか、子どもにはどんな大人になってほしいのか、あらかじめ子どもと保護者のかた、そして夫婦間で話し合っておいていただきたいということです。我が子は競争のある刺激的な環境のほうが伸びそうか、のんびりと穏やかな環境のほうが向いているのか。学習法を手とり足とり指導してくれるほうがいいのか、自分で工夫させたいのか。

先生方の立場に立つと、最近は学校に「面倒見のよさ」を求める保護者のかたが多いので、「夏期講習をきっちりやっています」「補習・講習が充実しています」などとつい強調しがちです。しかし、その一方で「もっと自主性を重んじてほしい」という考え方の保護者のかたもいます。「面倒見」と「自主性」は矛盾する場合があるので、進学実績の数値だけでなく、指導方針もある程度知っておかないと、子どもと合わない学校を選んでしまう危険があるのです。
あらかじめ、子どもの希望や適性について家族で話し合い、志望校のイメージを持っておいたほうが、子どもにぴったりの学校を見つけられる可能性が高くなります。



■「ちょっとした質問」からわかること

また、学校生活について身近なことを尋ねると、学校の雰囲気がわかってきます。生活指導はどんなふうに行われているのか。お昼はお弁当を持っていくのか。盛んな部活は何か、特徴的な学校行事の様子など。
ここでも重要なのは、数値や結果より、その背景にある学校の文化や「考え方」について語ってもらうことです。たとえば「ICT教育について」尋ねるとすれば、「電子黒板が全教室にある」といったハード面だけでなく、ICT教育を通じてどんな力を身に付けてほしいのかといった「考え方」を聞き出してください。

一方、子どもにとって一番興味があるのは「部活」かもしれません。好きなスポーツの強豪校、音楽や演劇などのコンクール入賞常連校をめざす、といった部活ありきの学校選びも決して間違ってはいません。ただし、強豪校ではひと握りの生徒しかレギュラーになれないといった現実があることは、理解させておく必要があるでしょう。それでも、一流のチームに身を置くことは、人間的な成長にもつながるケースが多いのです。
子どもが、好きな部活の強豪校について知りたいと言ったら、ぜひ一緒にブースを訪れて、子どもに質問させるようにしてください。



■先生方や保護者の雰囲気も、さりげなくチェック

各校の校風は、先生方の雰囲気や服装にもどことなく表れます。企業人に近いはきはきした印象の先生が多い学校、おっとりとアカデミックな雰囲気が漂う学校。自由や自主性を重んじる学校だと、先生方の服装も比較的ラフで個性的ですし、ミッション系の伝統校などでは、色味の少ないスーツ系の先生が目立ちます。これは善し悪しではなく、各校が培ってきた文化の違いだと思います。
あまりお行儀がよくないかもしれませんが、ブースで説明に当たっている先生方の様子を、さりげなく観察してみてください。ブースを訪れる保護者のかたや子どもの雰囲気にも、学校によってカラーがあります。そこから、子どもがその学校の一員となった様子を想像して、なんとなく違和感や窮屈さを感じたとしたら、その学校の雰囲気はご本人に合わないかもしれません。



■まずは子どもの感触を聞いて

子どもと一緒に行った場合、ひととおり回り終えたら、先に自分の感想を言わず、子どもの感触を聞いてみましょう。また、ご自身でも各校の情報や印象を整理してみてください。その学校で、子どもがいきいきと成長していく様子が想像できれば、子どもに合った学校である可能性は大きいでしょう。
ご本人と一緒に候補を絞り込んだら、各校の個別説明会には必ず行ってください。特に私立高校は、校長先生の考え方次第で教育方針が大きく変わりますので、「どんな生徒を育てたいか」という基本理念について、ぜひ現場で校長先生の話を聞くことをおすすめします。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

子育て・教育Q&A