希望の学校に入学できなかった[入学までの過ごし方 第2回]
今は高校入試の不合格が例外的でなくなった
最近は大卒の就職状況が極めて厳しいこともあり、我が子の将来を心配して父親も受験に深く関わるようになっています。学校選択にも、父親が熱心に口を挟むようになりました。それだけに、入学を望んでいた学校に不合格だったりすると、親御さんの落胆も極めて大きいものがあります。
保護者の時代の公立高校といえば、受験先は中学校の内申の成績で振り分けられるという進路指導が行われていました。ですから、倍率は1.2倍や1.3倍などが普通でした。つまり不合格のほうが例外的であったわけです。
ところが「学校現場からの偏差値追放」以降、中学校の進路指導が大きく変化し、受験校は受験生およびご家庭の責任で決めなさい、ということになりました。そのため今では、推薦入試や前期選抜では3倍、4倍といったケースも珍しくありません。既に終わった今年の東京都の推薦入試では、9.38倍という学校もありました。
一般入試でも人気のある学校では、倍率が2倍を超えるところもごく普通にあります。2人に1人が不合格となるわけで、保護者の時代とはまったく様相が違うのです。
また、受験であるからには、一緒に勉強してきた友達との間で、普段の成績と受験結果とが逆転するということもしばしば起こります。
親とすれば、こうした結果に「塾でうちの子より下のクラスだった○○さんがA高校に受かったのに、どうしてうちの子はB高校にしか受からなかったのか」「あれだけやったのに、こんな学校に行くことになろうとは思ってもいなかった」……いつまでもこうした思いにとらわれがちです。
脱力感から、何もする気が起きない。なかには、知人と顔を合わせるのがいやで外出しない、そうしたかたも出てきます。 「近所の人に興味本位に子どもの入学先を聞かれるのがいやだ」、「校名を言いたくない」、「我が子を入れたかった学校の制服を見たくない」……そうした心理状態に陥ってしまうのです。 ですが、親がいつまでもこうした思いを引きずっていると、「こんなにも親を悲しませてしまった」と、自分が不合格だったこと以上に子どもを苦しませることになります。入学する学校にも誇りを持てず、それは入学後の友達関係、学校生活にも尾を引き、勉強にも身が入らないことにつながります。
親の評価が高校入学後の生活に影響
入試の結果は、あくまで高校受験の結果でしかありません。人生の結果ではないのです。 我が子がここまで努力してきたこと自体をほめてあげましょう。親の評価こそが、高校入学後の子どもの「原動力」になるはずです。 たとえ望んだ学校に入れなかったとしても、それによって我が子のよさが消えるわけではありません。A高校であっても、B高校であってもお子さまのよさは少しも変わらないはずです。
これまでは、何としても「合格」させたいという思いから、お子さまの欠点に目が行きがちだったと思います。ですからこれからはお子さまのいいところを探し、それを評価してあげてください。