入試終了後の我が子への指導[中学受験]
いよいよ2011(平成23)年中学入試が始まる。これから始まるのだが、入試が終了した後のことも考えておかなければならない。すべての受験生が第1志望校に合格できるわけではないからだ。不本意にも第1志望に合格できなかったとき、一生懸命にがんばった我が子にどのような言葉をかけてあげるか、言葉の詳細はともかく、少なくとも保護者としての指導方針は明確にしておかなければならない。
公立の中学校に進学する場合も含め、進学先が第1志望校でなかった場合に、入学した後のことを考えてみる。中学校に入れば、本格的にクラブ活動や生徒会活動に取り組むこともあるだろう。また、公立中学校に入学すれば、高校受験に取り組むことにもなるだろう。そのときに、中学入試でがんばった経験が役に立つ。
中学校に進学して、何か一生懸命に取り組めるものがなく、高校卒業までなんとなく学校生活を送ってしまう子どもが多い中で、何かに一生懸命取り組み、問題にぶつかりながらも決して逃げず、何度失敗しても立ち上がり、成功体験を積んでいくことが中学入試で培った経験でできるようになっている。
大学は、今でも広き門で、お子さんが大学受験をする6年後はさらにこの傾向は顕著になる。現在でも、50%以上の生徒は推薦やAO入試で、大学受験を経ないで大学に入学している。推薦やAO入試が悪いと言っているわけではない。本当に入学したい大学ならば受験の方法は問題ではない。そうではなくて、大学受験で苦労するのが嫌で、志望を落としてでも安易な入試を選ぶことが問題なのだ。安易に入学した大学で、学生が一生懸命、何かに取り組む姿は想像しにくい。一生懸命に取り組み挫折しながらも自分の力で何かをつかみ取る経験をしないで、社会に出て行く若者が多くなっている。
しかし、就職は大学受験の推薦やAO入試のようにはいかない。特に、この数年の就職戦線は、景気の低迷とともに厳しさを増している。有名大学という学歴だけでは、志望している企業から内定をもらえない。就職では、大学のAO入試のように、まず、エントリーシートを書かされる。このエントリーシートで門前払いされる。エントリーシートのテーマは、「企業の志望動機」「自己アピール」などだが、大学時代に一生懸命取り組んだことがなければ、説得力がなく、書類選考を通過できないケースが多い。エントリーシートは通過しても、次の面接で出される質問に、採用担当者を納得させる回答はできない。
企業は、一生懸命に何かに取り組み、苦労しながら問題を解決し、その中で何かをつかんできた人材を求めている。一生懸命に中学受験に取り組み、苦労しながら問題を解決し、たとえ第1志望校に合格できなかったとしても、その中で何かをつかんできた我が子を評価してあげればよい。「この経験が、将来につながる」とひとこと言ってあげればよい。