7月実施の四谷大塚第2回合不合判定予備テストから予想されること[中学受験]

今年の4月に行われた四谷大塚の第1回合不合判定予備テスト(以下「予1テスト」)に続き、今回は、エントリー校(合否判定校、以下同じ)に絞って7月に行われた第2回合不合判定予備テスト(以下「予2テスト」)を調査した。予2テストの志願者数が前年や予1テストと比較してどれだけ増減しているかがポイントとなる。非エントリー校(合否非判定校、以下同じ)は、志願者数が少なく極端なデータが多くなるので、調査から除外した。

調査の結果は、2010(平成22)年四谷大塚の予2テスト志願者数前年対比は92.0%と前年よりも8.0%減少していた。予1テスト志願者数前年対比が97.4%で前年よりも2.6%の減少だったことを考えると前回よりも大幅に減少した。
7月の時点の予2テスト志願者数前年対比が8.0%減少しているからといって、来年の受験者数が同じだけ減少するとは言えない。しかし、4月の予1と7月の予2テストの両方で志願者数前年対比が減少したことで来年の2011(平成23)年中学入試は2010(同22)年よりも受験者数が減少する可能性は高いと言っても良いだろう。これまでも、他のデータで来年の2011年中学入試は2010年よりも受験者数が減少することを予想してきたが、このデータによって、それがさらに補強されたことになる。

これだけ明確に四谷大塚のテストで志願者数が減少することがわかると、自分の学力よりも偏差値の高い学校を受ける生徒が多くなると思う。このことは予2テストの志願者数増減率が難易度A(偏差値65以上)では男子も女子も前年とほぼ同じで、学校難易度が低いほど志願者数の前年対比が減少していることからも検証できる。結果として、学校難易度が低ければ低いほど受験者数は減少する可能性が高くなる。
そうなると、2010年中学入試で受験者数が減少した学校は、2011年入試ではさらに受験者数が減少すると予想し、危機感から合格者を増やすケースも多くなると思う。また、入学申し込み時には中堅校でも合格者の入学辞退者が多くなり、学校は繰り上げ合格で入学者が少なくなった分を埋めることになる。その影響は連鎖し、最終的には学校難易度が低いほど、合格者が上位の学校の繰り上げ合格で入学を辞退し、繰り上げ合格が出てますます入りやすくなる。

2010年四谷大塚の予2テスト志願者数前年対比からわかる最も重要な予想は、2011年入試は受験者数前年対比が急激に減少する可能性があることと、その影響は学校難易度の低い学校ほど大きくなることだろう。まだ、11月、12月のテストまで待たなければ正確には算出できないが、2011年入試の受験者数前年対比予想は、これまでのデータから計算すると、89.0%となりそうだ。ちなみに2011年入試の受験者数前年対比予想は、難易度A校(偏差値65以上)では97.3%、難易度F校(偏差値40~45)では76.3%と大きな差がついている。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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