「人口の推移」から、高齢化や将来の日本について考える

日本の総人口はこれまで100年以上も増え続け、21世紀に入ってからもわずかながら増加していました。しかし2005年、前年度に比べ総人口が減少。出生率も低く、高齢化も深刻化してきています。
そこで今回は、ニュースなどで耳にする機会も多く、適性検査でも頻出の「日本の人口」に関する問題から、高齢化や日本の未来について考えてみましょう。
※2010年1月1日時点での政府発表データを基にしています。


クイズde基礎知識

総人口は増えている? 減っている? 出生率の変化は? 人口が減るとなぜ困る?


Q1

2005年までの過去50年間の日本の総人口(外国人含む)推移に関して、合っているものは?


A. 増え続けていた
B. 増えたり減ったりしていた
C. 減り続けていた


A1 正解は 「A. 増え続けていた」 です。

日本の総人口(外国人含む)は戦後増え続け、1967年には1億人を超えました。しかし、1980年代後半からその増え方は緩やかになり、2005年にはマイナス(増減率はマイナス0.1)となりました。その後、2006年、2007年は横ばいでしたが2008年からは減少傾向が続いています。

総人口推移<1920年~2008年>
総人口推移<1920年~2008年>
総務省統計局「総人口、人口増加、性比および人口密度:1920~2008年」より


Q2

ここ10年間の日本の出生率(合計特殊出生率:1人の女性が生涯に生む子どもの数の平均値)の推移に関して合っているものは?


A. 増加傾向にある
B. 減少傾向にある
C. ほぼ変わらない


A2 正解は 「C. ほぼ変わらない」 です。

「合計特殊出生率」は、1人の女性が生涯に生む子どもの数の指標としてよくニュースなどでも取り上げられます。日本で現在の人口を維持するのに必要な合計特殊出生率の水準(人口置換水準)は2.08です。しかし、1975年に初めて2.0を切って以来、出生率は減り続け、ここ10年はほとんど変わらず1.26(2005年)から1.37(2008年)の間で推移しています。

合計特殊出生率の推移<1947年~2008年>
合計特殊出生率の推移<1947年~2008年>
厚生労働省大臣官房統計情報部「平成20年人口動態統計の年間推計」より


Q3

人口が減ることで起こる次の問題のうち、間違っているものは?


A. 税収が減り国力が衰える
B. 地方の人口が増える
C. 労働力が減少し経済が弱体化する


A3 正解は 「B. 地方の人口が増える」 です。

国は国民や企業が収める税金で運営されています。そのため、税金を納める人口や就労人員が減ることで国民や企業からの税金は減ります。また、物を消費する人数も減るので経済も縮小され、国力は衰えていきます。さらに地域活動や地方文化の維持も難しくなっていくと考えられます。また、地方の人口についてですが、実はここ数年、人口の増減に関わらず都市部の人口は増え続けています。現在すでに地方の人口過疎化は問題となっていますが、このまま人口が減少していけばさらに地方の人口減少が進むと考えられています。


Q4

このまま少子化・高齢化が進むと2055年には65歳以上の高齢者は国民の何人にひとりになる?


A. 10人にひとり
B. 5人にひとり
C. 2.5人にひとり


A4 正解は 「C. 2.5人にひとり」 です。

2008年の総人口を年齢別の割合でみてみると、子ども人口(14才以下)が18.3%、働き盛り人口(15~64才)が59.6%、高齢人口(65才以上)が22.1%でした。このまま少子化と高齢化が進むと2055年には、子ども人口は11.7%、働き盛り人口が47.7%、高齢人口が40.5%になり、国民の約4割、2.5人に1人が高齢者という「超高齢社会」になると考えられています。
高齢者が受け取る年金は若い働き盛りの年代が負担しています。また、高齢者を介護するのも同じく働き盛りの年代の人たちです。2008年の時点では約2.8人で1人の高齢者を支えてきましたが、それが2055年には約1.2人が1人の高齢者を支えるという割合になると予想されています。

年齢別人口割合の変化
年齢別人口割合の変化
総務省統計局「総人口,人口増加,性比および人口密度の将来推計:2005~55年」より


適性検査ではこう問われる

提示されたグラフや表から、自分はどう考えるかを問われる


小学校社会科の学習単元でもある人口に関する問題は、適性検査でもしばしば取り上げられます。進む高齢化や少子化問題、人口減少など、ニュースや新聞でも取り上げられることが多いので耳にする機会も多いのではないでしょうか。
適性検査の出題傾向としては、人口の数値や用語を答えるものよりも、実際に人口推移のグラフや年齢別の総人口グラフ(人口ピラミッド)が提示され、そこから何を読み取るか、自分はどう感じたかなどを問われることが多いようです。

人口ピラミッド
人口ピラミッド
総務省統計局「年齢(5歳階級及び3区分)、男女別人口(各年10月1日現在)−総人口」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」より

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