2015/12/22

[第4回] 少子化社会の課題 未婚化に焦点をあてて -若者の交際・結婚・子ども観を知る- [3/3]

3.パネルディスカッション 若者に聞く--- 交際・結婚・子ども観

登壇者:
白河桃子さん(少子化ジャーナリスト・相模女子大学客員教授)
尾郷彩葉さん(慶応義塾大学2年生 manmaメンバー)
小野田祐さん(早稲田大学4年生 manmaメンバー)
野田雅満さん(早稲田大学3年生 manmaメンバー)
進行:持田聖子(ベネッセ教育総合研究所)
 統計データからみえてきた現代の若者の交際・結婚・子どもを持つことへの意識と、白河桃子さんのお話をうかがいましたが、次に当事者である若者男女に、生の声を聞いてみました。

manma

慶応義塾大学法学部の女子学生が中心となって2013年に発足したサークル。主に女子大学生向けに、仕事だけではなく、結婚、出産も含めて自分の人生をどう生きていきたいかを、学生のうちに考えられる機会を提供している。「ロールモデルが母親しかいない」などの悩みから、「家族留学」を実施。一般の家庭に「留学」し、日常生活で子育てと仕事の両立などをどうしているかを実際に見る活動をしている。現在は大学生(男子含む)120名、100の家庭が「家族留学」に登録している。
http://manma.co/

自分が受けてきたライフデザインの教育は?

持田:皆さんは、これまでライフデザインについて考えてみる機会はありましたか。白河さんのお話を聞いて、どのように感じられましたか?
尾郷:私は小学校から高校まで女子校で、保健の授業では性について、キャリア教育では働くことについての授業を受けましたが、両者を組み合わせた話はありませんでした。でも実はこれを合わせて考える必要があったのではと、白河さんのお話をうかがって思いました。
野田:特に「キャリア・ドリフト」、変化も楽しんでいけたらというところに共感しました。友人と話していると、同世代には「どうせ将来どうなるかわからないから今考える必要はない」という人が多いですが、僕はわからないからこそ、今、考えておきたいと思います。
小野田:結婚について、男性も受け身で待ち、というところに共感しました。アニメなどを見ていても、積極的な女子と、自分からはアプローチできないけれどかっこいいからモテる男子が主人公なので。
白河:女子校では、性教育もキャリア教育も、ライフデザイン教育もされているケースが多いですが、実はこれらはすべて1人の女性の身に起こることであり、本来は切り離して教えることではありません。ただ、国の組織を見ても、監督官庁も別になっており、課題はまだ多いと思います。

交際~きちんと告白してから交際は始まる?!~

持田:今、「交際している」とはどういう状況を言うのでしょうか?
野田:一種の契約で「好きです。付き合ってください」「はい」となってからが恋人かな。
白河:男女関係なく、いろいろな人とつながっているので、みんななんとなく付き合うというのが多いのかと思っていました。イベントなどは2人で過ごすのですか?

結婚・子ども~まだ少し、イメージしにくいけれど…

持田:結婚に対する若者の意識も変わってきていますが、それについてはどう思われますか? また、将来、子どもを持つことについてどんな風に思っていますか。
小野田:男女差がすごくある気がします。先輩で、女性が結婚を考えて男性にプレッシャーをかけてきて、男性はそれに耐えられず別れたという話を聞きました。こういうカップルは他にもけっこういます。
尾郷:結婚して子どもは欲しいと漠然と考えているけれど、それは希望のみで過程については何も考えていない、むしろ、自分のキャリア優先の人が多いと感じます。
野田:大学を出たら結婚して子どもがいてもいいなと思っています。そのために僕は自炊男子を目指していて、今年の初めから1人暮らしをし、有給のインターンをして生活費を稼いでいます。
小野田:結婚については考えていません。まだ考えられないと思いました。「家族留学」でいろいろな家庭を見て、将来自分がどうなるかはわからないなと感じました。もっと自由に、人生の流れに身を任せようと思っています。
白河:ワークライフバランスについて、「家族留学」でいろいろな子育てをリアルに見るのはとてもいい機会ですね。男女ともにそういうチャンスがもっとあればいいと思います。そして、自炊男子が増えたらよいですね。男性を啓蒙するにはどうしたらいいかを考えていますが、女性がひっぱり、男性はそれにうまく巻き込まれていくのがよいのではないでしょうか。
持田:皆さん、ありがとうございました。少子化が進む日本で、若者自身も、男女ともに、自らのライフデザインを主体的に考えていくことが大切ですね。そして、社会は、若者に対して、ライフデザインに必要な知識を伝えることとともに、働きながら子育てがしやすい環境づくりを整えていくことが急務であることが改めて見えてきたと思います。
編集協力 菅原然子