2011年中学入試の難易度予測[中学受験]
昨年、リーマンショックからの不況でどれだけの影響があるかをバブルの崩壊の時の受験者数の動向と比較して分析した。バブルの崩壊前も今回のリーマンショック前と同様、中学受験ブームで受験者数は毎年増加していた。バブルの崩壊後は、2年間受験者数は増加し続け、3年目に大幅な減少となった。
塾や学校では、バブルの崩壊の時の記憶があるせいか、教育に不況はないと考えたようで、2010(平成22)年入試の受験者数の大幅な減少は予想していなかったようだ。これは、バブルの崩壊の時の経験だけではなく「いくら家計が厳しくとも教育費だけは例外的に支出する」という教育神話があったとも考えられる。しかし、予想に反し2010(平成22)年入試は、結果としては、首都圏で約6.5%の受験者数の減少となった。100年に一度の不況と言われるだけあって、今回の不況は深刻と言える。
さて、気になるのは、来年の中学校入試の動向だが、わたしの2011(平成23)年入試予想は、2010(平成22)年入試以上に受験者数が減少することで、多くの学校で難易度は下がると思う。原因は、2010(平成22)年入試同様、不況の影響が強い。受験者数は塾の生徒数で考えるとわかりやすい。
中学受験の準備には少なくとも2年間かかる。つまり、1年間では中学受験の準備は難しいので、新6年生(5年生の3学期に入塾)が、これから受験準備をしても来年の受験には間に合わないのだ。論理的には新6年生からの入塾者はほとんどいないはずだが、実際にアンケートを行うと約5%いた(1年生から6年生までの入塾者数の累計を100%とした時)。どうも、それまでは家庭教師や個別指導で受験準備をしてきたと思われる。
しかし、2011(平成23)年入試で大きな影響を与えるのは、昨年、新5年生(4年生の3学期に入塾)で入塾した生徒だ。新5年生からの入塾は全体の約20%と大きな割合を占めている。不況の影響で、これまで塾に通っていた生徒(既に受験準備を始めている生徒)が中学受験を諦めることは少ないが、入塾者(新たに中学受験に参加する生徒)が減少することは大いにあるようだ。リーマンショックで新5年生の入塾が少なかったという情報もある。
2011(平成23)年入試で、全体的に受験者数が減少しても難関校や上位校は易しくならないのではないかという予測もある。2010(平成22)年入試で検証してみよう。2010(平成22)年入試は、受験者数が全般的に減少することで、確かに全般的な難易度は下がったと思うが、中学受験ブームの衰退や不況によって中学受験を取りやめる層は、それほど教育熱心ではないと言える。教育熱心なご家庭のお子さんが、すべて成績が良いとは言えないが、優秀なお子さんが多いことも確かだ。そうなると、今年、受験生が減少したとしてもそれほど影響はないのかもしれない。実際に今年のデータを調べてみると、難関校・上位校の受験者数は対前年比で多少下がったが、中堅校や中下位校に比べるとそれほどの減少ではなかった。