入試難易度ごとの隔年現象を考慮しよう [中学受験]

2011(平成23)年入試では、2010(同22)年入試以上に、入試難易度ランクの低い学校であればあるほど受験者数が減少し、難関・上位ランクでは受験者数が増加したランクも出て、明確な傾向が見られた。2012(平成24)年入試でもこの傾向は当然継続すると考えるべきだろう。

【グラフ1】
中学入試受験者数推移 A~Dランク 2008年を100%

中学入試受験者数推移 E~Hランク 2008年を100%

グラフ1はリーマンショック直前の2008(平成20)年を100%として、2009(平成21)~2011年の3年間に受験者数がどれだけ減少したかを不況の影響と考えて、各中学校の主要な入試をサンプリングして受験者数推移で示した。リーマンショック直後の2009年は小6人口の増加局面で、しかもサンデーショックが重なり、不況の影響が分析しにくいが、しかし、2010年は、どのランクでも受験者数が減少しており、E~Hランク校の減少率は、A~Dランク校よりも大きい。2011年ではA~Dランク校では受験者数が増加に転じたA・Cランク校と微減のB・Dランク校に分かれたが、E~Hランク校ではどのランクでも2010年と同様、受験者数が大幅に減少している。

【グラフ2】
中学入試受験者数推移 A~Dランク 前年対比

中学入試受験者数推移 E~Hランク 前年対比

グラフ2を見ると、入試難易度ランクA~Dは明確に隔年現象があるようだ。また入試難易度ランクE~Hでは、隔年現象は見られない。毎年のように受験者数前年対比が下がり続け、2011年には2010年と同程度か、少し減少率が下がっている。そこで2012年入試では、全体の受験者数が10%減少した場合、ランクが高い学校は受験者数前年対比が100%以上となり、ランクの低い学校は70~80%になる可能性が高い。

2012年入試では入試難易度ランクによって受験者数の増減は大きく異なるので、志望校の難易度は偏差値通りではないだろう。E~Hランク校であれば、入りやすくなることで安心しないようにより高い目標にチャレンジすべく、第1志望を変える必要はないが、第2志望校または第3志望校で1ランク以上高い学校を設定して気を引き締めるとよい。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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