国語のような、あいまいな表現を読み取ったり、答えたりする教科が苦手[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。



質問者

小4女子のお母さま


質問

娘は、白か黒か、はっきりと答えが出る勉強が好きなようで、国語のような、あいまいな表現を読み取ったり、答えたりする教科が苦手です。説明文はまだましですが、物語になると、登場人物の心情などがあまり読めません。


小泉先生のアドバイス

「なぜ」を大切にした論理的な学習を続ければ、5年生の後半ぐらいからぐっと国語が伸びる

どうも国語は、≪あいまいである≫と感じるかたが多いようです。しかし受験の国語に限れば、これはかなり誤解であると言えます。なぜなら、国語の問題でも正解は一つしかないからです。答えは、一つしかないように作るのが原則です。そのために、本文を根拠にして論理的に答えを導けるような「仕組み」が多くの問題で構築されます。特に、良問には顕著に見受けられます。もちろん記述問題の場合は、表現が多少異なっていても正解にはなります。しかし、正しい「方向性」は一つに決まっています。

国語に関する誤解で、よく耳にするものがもう一つあります。それは、国語は「勉強しなくてもできる子はできる」あるいは「勉強してもなかなかできるようにならない」というものです。この誤解もかなり流布しているようですが、これらのことは極言すれば「国語は勉強してもしなくても変わらない」ということになります。何とも、かわいそうな教科ではあると思います。
しかし実際には、国語は他教科と比べてもわりと短期間で伸ばせる教科です。もちろん漢字や慣用句など最低限の基礎知識は必要ですし、習得のためには時間もかかります。しかし算数に費やす時間に比べれば、それほど多いとは言えないでしょう。基礎知識を身に付け、本文を根拠に論理的に考えながら勉強していけば、比較的短期間で成績が上がる教科なのです。

とは言うものの、小学校の中学年までに扱う国語の問題には確かに論理的でない面もあります。高学年さらには中学校入試で扱う問題とでは、質的な違いがあるのが事実です。おそらく、小学6年生から中学生にかけて大きく伸びる論理的思考力に合わせるように、国語の問題も飛躍的に論理的になってくるのでしょう。ですから、今まで直感で良い点数を取っていた生徒が突然できなくなるケースが多くあります。論理的な思考になじめず、国語の成績が急降下してしまうのです。逆に、お子さまのような論理的な生徒は、今は苦手にしていても、中学受験の国語の論理性を理解できればやがて点数が上昇してくると思います。 

そのためには、今から基礎的な知識を培っていくことです。たとえば、物語文であればまずは心情表現に慣れることです。どのような気持ちの時に、どうような表現をするのか。一般的なものだけでも、それらの表現に何回か触れておきましょう。そして身に付けた心情表現と物語の展開から、問いを論理的に考えてみましょう。
正解であれば問題ありませんが、もし不正解であれば納得いくまで解答・解説を吟味してください。それでも納得いかなければ、先生に質問してみましょう。そして、「あっ、そうか」と思える瞬間があったとしたら、それはお子さまが伸びた瞬間です。自分の答えが間違いだった時が、学力を伸ばすチャンスなのです。なぜ自分の答えが間違っているのか、なぜ模範解答が正しいのかを突き詰めていくその過程こそが、国語力を伸ばすためには必要だということです。
基礎知識をコツコツと身に付けつつ、「なぜ」を大切にした論理的な学習を続ければ、5年生の後半ぐらいからぐっと国語が伸びると思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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