息子を志望校に合格させたお父さまが家庭でできる読解問題の作り方を伝授

大切なのは出題率の高いテーマ選びとグラフ入りの記事を見逃さないこと

しかし、それができたのは鈴木さんが新聞記者だからなのではないでしょうか。一般の家庭でも、保護者のかたが練習問題をつくれるものなのでしょうか。

たしかに私は職業柄、毎朝すべての全国紙に目を通しますし、ニュースにふれる量が多いですが、他の仕事をされているご家庭でも決して難しいことではありません。自宅で新聞をとっていれば比較的簡単にできます。大切なのは、ポイントをはずさないことです。


練習問題をつくるうえで大切なポイントは何か、教えてください。

最も大切なのはテーマです。適性検査でよく取り上げられるテーマに常にアンテナを張りながら新聞をチェックするのです。主なテーマは地球温暖化など環境に関するもの、食糧問題、少子高齢化、いじめ問題などでした。2008年なら、年金、食品の偽装、石油や小麦粉の価格などの資源問題あたりでしょうか。これらの記事を見つけたら、とりあえず切り取っておきます。また、グラフが入っている記事は問題が作りやすく、実際に適性検査の問題でもグラフ資料を読み取って考えさせる問題が多いので、グラフを見逃さないこと。それらの記事をA4の大きなノートの見開き左ページに貼り、右ページに問題と解答欄を載せるようにしました。


小学生用のノートはB5サイズが一般的ですが、あえてA4ノートを使うのがポイント。新聞の切り抜きが貼りやすい上に、実際の適性検査もA4サイズなので、より本番に近い練習ができます。


問題は、基本的に以下の2つです。

(1)記事と資料から読み取れることを書きなさい。ポイントが2つある場合は、2つ書きなさい(その場合は解答欄を用意して書かせる)。
(2)この記事を読んで、あなたの考えを書きなさい。そう考えた理由も書きなさい。

最初は息子のレベルもわからず、難しい問題をつくってしまい、息子が手も足も出ずに何も書かなかったこともありました。が、回を重ねるうちに私のほうも上達していったと思います。子どもが「何を問われているのかがわかる」問題をつくろうと思い、そこだけは注意しました。

また、1問にかける時間も、実際の適性検査の時間と問題数から割り出して意識させました。問題の横に「10分以内で」などと時間の目安を書いておき、実際に取り組む際は、妻がタイムキーパーになっていました。


好きなテーマを時々入れることで楽しみながら、継続して取り組めた

次男の大二朗さんは6年生の12月から2か月間、毎日欠かさずお父さんの手づくりの問題に取り組まれたそうですが、子どもを飽きさせないポイントは?

子どもが好きなテーマをときどき入れることでしょうか。息子は野球をやっているので、野球選手について書かれた記事や、野球に関するおもしろい記事を入れると、いつもより熱心に取り組んでいるようでした。また、かかわり方も重要ですよね。私の場合は仕事柄、帰宅がいつも深夜になるので、一緒にベッタリ横にはりついて勉強を見たわけではありません。朝までに問題を用意し、夕方学校から帰ってきた子どもが問題に取り組み、子どもが寝たあとで私が添削する、というスタイル。これが結果的には、息子にとってうるさくなく、よかったんじゃないかと思います。


添削の基準は「筋が通っていて子どもらしくのびのび書けているか」

お子さんの解答を、どのような基準で添削されたのでしょうか。

筋が通っていればOKでした。欲を言えば、大人にはこういう発想はできないな、という「子どもらしくのびのびした答え」が書けていれば満点です。判断に迷ったときは、「自分が採点官だったらどう評価するか」と想像して添削しました。もし私が採点官なら、紋切り型の答えよりも、多少荒削りでも子どもらしくてユニークな答えのほうにいい点数をつけたい、と思いました。

実際、息子の解答が、私の想定した答えとは大きく違っている場合もありました。それがなかなかいい答えだったんですよ。「ああ、こういう発想をするのか!」という驚きがありました。そんなときは心からほめましたね。


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「進研ゼミ小学講座」は2020年新課程に対応して、リニューアル。基礎から応用までの学力向上はもちろん、自ら学ぶ姿勢を身につける。
学んだ知識を使って、自分なりの答えを導き出す。そんな体験を繰り返すことで、「自ら考え表現する力」を育んでいきます。

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