第6回 受検直前の1か月で何をしておくのか

第5回に引き続き、受検を控えて何をすべきか明らかにしておきましょう。
どの程度の漢字の知識が求められるのか、計算処理の程度はどこまでの範囲なのかは学校によってマチマチですから、過去の出題を研究して志望校に応じた力の入れ方を親が判断しなければいけません。事実(ここでは志望校の適性検査問題)に基づいた親の分析力、考察力、判断力が試されますし、子どもに対する的確な指示が求められます。そして親の指示に従って忍耐強く練習を続けていける素直な子どもが合格に近づくのです。この場合の【素直な子ども】は、親の言いなりにただ従うだけのお人形とは違います。親の説明を納得して受け入れ前進する自立した子どもです。

さらに、子どもに指示したあとも親は見守り続けなければいけません。勉強を継続しない子に「どうして練習しないのか」「ダメねぇ」「合格できないわよ」などと子どもを責めるのは、親の感情の発露であって子どもを委縮(いしゅく)させるだけです。ここで利口な親かそうでないか、合格に近づくか遠ざかるか、親の見つめる力、判断力、コミュニケーション力が問われます。一度指示したことを金科玉条として固執することはありません。試行錯誤して前進すればいいのです。子どもの能力や向き不向きによって変えていくことも必要です。子どもも悩んでいるのです。親の助けを心の底では求めているのかもしれません。幼児期から良好なかかわりを築いてきた親子なら乗りきれます。「親が課題を具体的に示し、考察の方法を教え、解決策を伝える」親のかかわり方が、土壇場で効いてくるのです。
子どもと話し合い、納得ずくで工夫改善の取り組みを模索していくことです。


毎日取り組みたいこと

(1) 算数の教科書(4~6年)を読み、公式や考え方を説明できるようにする。
算数で特におさえておく単元
 6年 約数・倍数、単位量あたりの大きさ、立体
 5年 偶数と奇数、小数のかけ算・わり算、割合
 4年 概数の表し方、計算のきまり
(2) 4年生のときに配布された【私たちの東京】(東京都の場合)などの、郷土のくらしに関する教科書を、資料とともに読む。地図記号もおさらいしておく。
(3) 理科と社会の教科書を、写真や絵・表・グラフを中心にくまなく読み込む。
 理科では、実験観察の【調べる条件】【そろえる条件】【調べる方法】に注意。
 社会では、2つの事柄を比較している部分と、近現代の生活ぶりに注目。
(4) 世界地図を見て主な国々の位置と気候を知る。
(5) 2008年度の重大ニュースの解説をひととおり読んでおく。

さて、過去に出題された志望校の問題や全国適性検査問題集の扱い方、取り組み方については、次回にお話しいたします。


プロフィール



学習塾「スクールETC」代表。思考力を問う公立中高一貫校の適性検査対策に、若泉式の読解力・記述表現力の指導法が注目を浴びる。適性検査問題分析研究の第一人者としても活躍。著書に『公立中高一貫校 合格への最短ルール 』(WAVE出版)などがある。

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