【回答:森上教育研究所】受験対策<その4>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
国語の物語文が苦手です。対策はどうすればよいか?
挑戦校をめざしていないと第一志望も受からないでしょうか?
学習進度が遅れていますが、模試は受けるべきですか?
国語の物語文が苦手です。対策はどうすればよいか?
Q | 大手塾に通っている5年生です。国語の語句、物語文が極端に理解できず、苦労しています。 説明文は序文⇒本文⇒まとめの概念が理解できているようで要約もできるのですが、物語文になると、場面、できごと、心情が整理できず、結果的に要約ができない状況です。 毎日、必ず音読をしてから要約にチャレンジしているのですが、なかなか成果が上がりません。 他にどのようなことを行えばよいかアドバイスいただけますか。 |
A | 語句は基礎ですから、物語文を得意にするには、まず語句をマスターしてください。受験問題に出題される文章には、小学生では経験したことがないのでわからないであろう語句も含まれています。 しかし、出題する側の学校としては読書で模擬体験していれば理解できるはずだと考えているようです。頻出されるテーマによく出てくる語句は、テーマ別の読書で対処するのがよいでしょう。 国語は、短期間に学力をアップすることは難しいということが通常の概念として定着しています。しかし、短期間に国語の学力をアップさせる研究をしている先生もおり、国語が不得意な子どもを指導し、御三家をはじめ有名中学に合格させています。 その先生の指導法は、物語文では場面を絵(イメージ)で理解させるのが特徴的です。その先生の話から考えると、やはりお子さまは、場面、できごと、心情が整理できていないようです。 上記でお話ししたように理解できる語句が少ないことから心情が理解できないことも考えられますが、恐らく、できごとや心情を1つのイメージ=場面にできないことや場面の流れを1つのイメージ(=要約)にできないことが最大の原因と思われます。イメージで考えさせる指導を行うことで短期間に学力をアップすることは可能だと思われます。例えば、音読をするときに場面のイメージを思い浮かべさせるのもよいでしょう。 |
挑戦校をめざしていないと第一志望も受からないでしょうか?
Q | 現在3年生。興味のある学校(K校)が近隣にあり中学受験を考えています。 幼稚園の年長から通塾(個別)を開始しています。4年生からは、大手の進学塾に転塾させる予定ですが、K校(共学で男子偏差値が63です)が第一志望なら、転塾させる意味がないと先輩ママさんからアドバイスいただきました。さらに、いわゆる御三家をめざしていないと、K校にだって入れないと言われ、心配になりました。 息子共々、学校見学などにも何度か訪れ、通学したい気持ちも高まっているのですが、K校を第一志望にしていては、レベルが届かないものなのか…転塾する際、志望校は心にもない御三家を挙げるべきなのか、悩んでいます。 レベル的には確かに御三家受験のかたの第二志望とされている学校です。でも、親子ともK校を気に入っており、K校に行くため(第一志望)にがんばるというのでは生易しいほど、中学受験は厳しいのでしょうか? 転塾とあわせて思案中です。アドバイスいただければ幸いです。 |
A | 第一志望に合格することが目的であれば、学習の目標は「第一志望の偏差値を模試でとること」になると思います。 しかし、受験生の心理を考えればわかると思いますが、模試で第一志望校の偏差値がとれた時点で、安心し、学習モチベーション(やる気)が低くなるものです。また受験は水ものですから、模試の偏差値が第一志望と同じでは安全圏とはいえないので、偏差値でプラス5程度を目標としたいものです。「いわゆる御三家をめざしていないと、K校にだって入れない」はそのようなことをおっしゃりたいのだと思います。 「K校を第一志望とし、目標の偏差値をK校の偏差値+5にしたとき、お子さまがK校の偏差値を模試でとれても安心することなくモチベーションを高く保てるか?」ということが問題です。モチベーションが保てる子どもであれば、K校を第一志望としてかまいませんが、そうでなければ御三家を第一志望にしてがんばらせたほうが安全です。 お子さまには、「第一志望がK校であることはよいが、1つ上の御三家をめざすことで確実にK校に合格できる。御三家を第一志望にしてチャレンジしてみなさい」という話をすればよいでしょう。またK校と御三家の受験日が違うようであれば、「K校と御三家を両方とも受験し、両方とも合格すれば、その時点で気に入っているK校を選ぶことができる」と付け加えることでお子さまに納得させることができると思います。 |
学習進度が遅れていますが、模試は受けるべきですか?
Q | 個別指導の塾に通っています。理解が遅いために一般の進学塾よりかなり進度が遅れています。そのため、模試を受けても、習っていないところばかりなので、もちろん解けません。進度が追いつくまで模試は控えたほうがよいのでしょうか? また、進度に追いつくように理解していなくても、とりあえず学習を先に進めて、その後、定着を図ったほうがよいか、それとも進度が遅れても基礎の定着に重点を置いたほうが良いのかご指導願います。 |
A | 「進度が追いつくまで模試を控えたほうがよいのでしょうか?」という質問ですが、お子さまの状況にもよります。お子さまが学習モチベーション(やる気)の高い状況であれば、進度が追いつくまで待って模試を受けさせるべきでしょう。 模試の結果が悪い場合、お子さまがモチベーションを低下させてしまっては意味がありません。個別指導は外部からの刺激が少ないので、模試をお子さまの刺激材料とすべきなのですが、状況にもよります。 お子さまが学習モチベーションの低い状況であれば、志望校の合格判定を度外視して、科目・分野単元の現状掌握が目的の学力診断テストとして模試を受験させてください。お子さまには、その主旨をよく理解させて受験させ、合格判定結果や偏差値でショックを受けないようにしてください。習っていないところは解けないでしょうから、習った範囲の問題で個別指導の先生に評価してもらえばよいのです。 進度と理解と定着の問題ですが、理解に時間をかけすぎて進度が遅れてしまうと入試に間に合わなくなります。しかし、理解が不十分で問題演習の定着に移行しても問題が解けず時間の浪費となります。少なくとも定着させるための問題演習がなんとかできる程度の理解が必要です。また、進度を速めても理解できるようにするためには、指導者の高い指導力と子どもの高いモチベーションが必要です。 |