説明文で前後関係やつながりが読み取れません その1[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答し、実際にアドバイスを実践した結果どうなったのか?という追跡結果もお届けします。


質問者
相談者:東京都 S・Yさん
学年:小学3年生
性別:男

第一回目の質問
長男は現在小3で、中学受験志望です。保育園時代から毎晩本の読み聞かせを続けているのにまったく本好きになってくれず、自分では精読ができないため、今まさに読解問題で手を焼いています。難しい問題になるとさらに文章嫌いが顕著になり、どうすれば楽しく読解問題に取り組ませられるか日々悩んでいるところです。
物語文よりも、説明文が苦手です。自分になじみのない分野について書かれていると、想像力でカバーすることもできないらしく、特に苦手なようです。説明文を正確に読み取る、意味を深く理解する、というのがなかなかできません。「(要約文を)起きた順に番号をつけなさい」や「どうしてそう考えたのでしょうか?」という類の問題で苦労しています。
一緒に間違い直しをしていて、「これは本文のどこに書いてあった?」と聞いてみると、場所は大体つかんでいるのですが、前後関係やつながりが読み取れていないのかな、と感じます。
逆に部分的な「『これ』が指し示す言葉はどれ?」のような問題や漢字、算数の計算問題は得意です。

小泉先生の第一回目のアドバイス
説明文に慣れるために「ゲーム性」を入れる
小学3年生くらいから、だんだん難しい説明文がテキストに出てきます。言葉が難しかったり、興味のない内容だったりすると、2、3行読んだだけで、「ムリ、意味不明!」というように拒絶してしまうお子さまも少なくないと思います。お子さまはこのような状況なのですが、中学入試で出題される説明文(や論説文)は、非常に難度が高く、高校受験や大学受験ではないかと思われるほどのものも毎年出題されています。ここはぜひとも、お子さまに説明文に強くなってもらわないと困りますね。

さて「説明文を正確に読み取り、意味を深く理解するにはどうしたら良いか?」というご質問ですが、結論から言えば、「説明文に慣れること」です。文章の構造や接続詞の使い方は塾や参考書で勉強していると思いますので、あとは多くの文章を読んで慣れることが大切です。しかし、これだけでは、「楽しく読解問題に取り組む」というわけにはいかないかもしれません。なんらかの工夫が必要になってきます。
一つの方法としては、説明文を読む時に、遊びの要素を入れると良いかもしれません。たとえばテキストに載っている説明文をコピーして、段落ごとにバラバラにします。たとえば以下のようになりました。



ここで、お子さまに正しい順番に段落を並べてもらいます。当然、(1)~(5)の順番はわからなくしておきますので、なんらかの「根拠」を元に並べることになります。そこで初めて「話題は何か?」「中心文はどこか?」を考え、「接続語」に注意することになるでしょう。正しく並び替えるといっても、文章の長さや内容によって難度はかなり変わります。お子さまのレベルに合わせて、いろいろなやり方を試してみてください。

例1:(1)、(2)、(3)、(5)の順番は示しておいて、(4)をどこに入れるかを考えさせる。
例2:(1)(2)と(4)(5)の組み合わせは教えておいて、(3)も含めた順番を考えさせる。
例3:元の文章をお母さんが事前に読み聞かせて、その後(1)~(5)の順番を考えさせる。
例4:ヒントなしで(1)~(5)の順番を考えさせる。
……などなど。

実施にあたっては、
1)お子さまにさせる前に、お母さん自身がやってみて、並び方が理論的に説明できる教材が望ましいでしょう。

2)お子さまが並べ終えたら、必ず理由を言わせることが大切です。たとえば「(1)の段落が最初にくるのは、問いかけだから」とか、「(2)(3)とつながるのは、(3)が(2)の具体例になっているから」などと明確な説明をさせてください。そして明確に言えない場合は、お母さんが教えてあげてください。

3)知らない漢字は、辞書で調べても良いことにします。

4)順番を間違えた場合は、その理由を一緒に考えます。ここでも「文章の構造」を復習できます。

5)お子さまに作ってもらった問題を、お母さんが制限時間を設けて解くのも面白いかもしれません。

説明文を正しく並べる学習(ゲーム?)は、私の教室でも時々やっています。みんなけっこう楽しそうにやっていますから、お子さまも楽しくやれるかもしれませんね。

……このアドバイスの結果、どうなったのでしょうか!? 続きは後日、紹介します。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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