【回答:森上教育研究所】受験対策<その8>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。

過去問が解けません。志望校を変えたほうがいいでしょうか?

小学6年生からの受験準備で間に合うでしょうか?

過去問が解けません。志望校を変えたほうがいいでしょうか?

6年生です。志望校の過去問にチャレンジしてみたところ、難しくてひどい点数になりました。また、ほとんど試験時間内に解ききれず、本人もショックを受けています。志望校を変えたほうがいいのでしょうか?
どの程度の点数かは分かりませんが、6年生の現時点で志望校の過去問が60%取れ、時間内に解ける生徒は、まず、いないと言っても良いでしょう。志望校の過去問が冬休みに、やっと合格点(学校にもよりますが、60〜70%)に届くかどうか、という生徒が多いはずで、それでも多くの方が合格するので、それほどショックを受ける必要はありません。
バックデートして考えてみましょう。できれば、冬休みに志望校の過去問がコンスタントに合格点が取れると志望校に合格する可能性は非常に高くなります。そのためには、9〜10月には過去問演習をスタートしなければ間に合いません。
過去問演習を行う6年生の秋までに、全教科の全範囲で頻出問題を理解・定着させておく必要があります。夏休みは、十分に時間があるので、頻出問題をたくさんこなして定着させるには良い機会です。夏休み前の今は、頻出問題を理解するのに忙しいと思います。理解しているだけで定着していないので、模擬試験では「わかっていても解けない」「試験問題を解く時間が足りない」という状況の生徒が多いはずです。当然ですが、現時点で志望校の過去問が解けなくて普通なのです。
また、現時点で、志望校を下げると、子どもがやる気(モチベーション)をなくす事があるので、絶対に避けるべきです。

小学6年生からの受験準備で間に合うでしょうか?

6年生になる長女が、突然中学受験したいと言い出してびっくりしています。今まで我が家では中学受験は関係ないと思っていたので、くわしいことがほとんどわかりません。受験する子はたいてい4年生から準備しているそうなので、今から準備を始めたとしても、もう遅すぎではないかと心配です。今の時期から準備して、間に合うものでしょうか?
確かに中学受験をする場合、4年生から準備することが多いのは事実です。6年生から準備をする場合に問題なのは、塾の進度が進んでおり、もう終わってしまった単元も多く、基礎から教えてもらうこともできない可能性が高いことです。しかし、お子さんの基礎学力が高ければ、個人指導や家庭教師で短期間に集中して学習することで、中学受験を乗り切るだけの学力を付けることも可能です。
ただし、短期間に学力を付けるためには、それなりの学習時間が必要です。お子さんの負担も大きくなると思いますが、お子さんの方から中学受験を言い出したので、これから中学受験を目指すことがどれだけ大変か、を良く理解させた上でスタートすべきです。このような場合、子どもの中学受験に対するモチベーション、集中的に学習するための体力、一定以上の基礎学力があるかが、中学受験を乗り切れるかどうかの鍵となります。もちろん、志望校の難易度にもよりますので、一度模擬試験を受けて基礎学力がどれだけあるか、どの中学を志望校とできるかを確認してから方針をたててみるのも良いと思います。

プロフィール



中学受験と私塾、中高一貫の中等教育と私学を対象とする調査・コンサルティング機関。私塾に『中学受験研究』、私学に『私学中等教育』を月刊で発行している。「わが子が伸びる親の『技(スキル)』研究会」を主催している。

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