【回答:ミスター・ツカム】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その2>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。


【回答:ミスター・ツカム】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その2>


算数の応用問題。解き方がひらめくコツは?

やる気が出ている時期に苦手な問題に挑戦させるべき?

夫の教え方で大丈夫でしょうか?

算数の応用問題。解き方がひらめくコツは?

5年生の娘は、算数の問題の解き方を、授業や問題集の解説では理解できるのですが、いざまっさらな問題と向き合うと、本人いわく「ひらめかない!」そうです。こういうことは、やはり慣れなのでしょうか。理解する力はあるので、あと一歩だと思うのですが、何かコツがあればご伝授ください。
どの程度の問題で「ひらめかない」のかわかりませんが、基本問題を少しひねってある問題だとしたら、それは基本が定着していない状態です。定着というのは、問題文を読んだら図や線分図をかき始めて正解までたどり着ける状態なのです。
応用問題だとしても、すべて基本問題の組み合わせです。
以前、私のメルマガでも「応用問題が解けない…と嘆く前に、基本問題を7回解きましょう」と書いたことあります。そのことについて「何で?」と思われたかたも多かったかもしれないので、ここで、なぜそういうことが必要かを説明しますね。
例えば、「速さのつるかめ算」という問題があります。これは「速さ」と「つるかめ算」を合わせた問題です。しかし、「つるかめ算」の基本がしっかり定着していないと、なかなか本質が理解できないんです。解説を聞くと理解できても、自分で解くとなると難しい。
応用問題でひらめかないのは、そういうことです。

ですから、急がば回れ…で基本の反復練習を実行してみてください。応用問題をうんうんうなってわからない時間を過ごすより、基本問題の反復に時間をかけるほうが良いと思います。5年生ですので、これからいろいろな問題に接することにより、考え方も広くなってきます。
荘司雅彦さんの本『中学受験BIBLE(バイブル)新版』(講談社)にそのことを検証されている一節がありますので、参考に読まれてみたらいいと思いますよ。

やる気が出ている時期に苦手な問題に挑戦させるべき?

受験学年となり、塾でもようやくやる気が出てきて、苦手な算数にも前向きに取り組んでいます。しかし、試行錯誤しながら手を動かして解く問題が苦手です。今の時期であれば、やる気もあるようなので、苦手な問題にも挑戦させるべきでしょうか?
まず問題点をもう少し明確にしておきましょう。
『試行錯誤しながら手を動かして解く問題』とありますが、具体的にはどのような問題なのでしょうか?
例えば年齢算という単元であれば、解いていくにあたって「線分図」というものをかいていかないと、解けないんです。
この線分図をかくことが定着していなければ、いくらやる気が出ているときでも厳しいです。逆にいえば、基本がしっかり定着していればやる気にかかわらず解けるといえますよね。
もうひとつ例をお話しします。
「速さ」の単元には多くの特殊算があります。「旅人算」「流水算」「時計算」「通過算」などです。これらを迅速に理解していくには、理解する順序があるのですよ。
私のホームページに詳しく書いていますので、よかったら参考にしてください。

算数にかぎらず苦手なところには必ず、基本的に定着していない部分があります。それが何なのかを見つけてあげるのもご両親の仕事ですね。
「より明確な質問をすれば、すでに解決している」…という言葉がありますが、なにが問題点なのかということをはっきりさせるためには、できるだけ具体的な質問をしてあげるといいですね。
例えば、「この文章、なにが書いてあるのかまったくわからない!」と子どもが言ったとしたら、「文章でわからない単語とか意味とかあるのかな? それがわかったら、すこしは理解できそうかな?」というような、具体的な内容に落とし込んで質問をしてあげると、何が苦手の原因となっているのかが明らかになりますね。
あとは、やる気を出して取り組んでいるときは、もっとその気にさせるような、明るく前向きな言葉、「調子いいね」「絶好調だね」「すごいね」とか…いっぱいかけてあげてください。

夫の教え方で大丈夫でしょうか?

夫は理系出身で、算数が得意だといって、時々子どもに算数を教えています。しかし、様子を見ていると、子どもはイヤイヤやっているようです。
夫は中学受験の経験はないので、いくら得意だといっても塾の先生のようには教えられないと思います。むしろ塾と教え方が違うと子どもが混乱したり、理解の邪魔になったりするのではないかと心配です。親が子どもの受験勉強を教えるのに適した教科・単元や、いい教え方があったら教えてください。
まず算数についてですが、中学受験算数の考え方は特殊です。自己流で教えないほうがよいです。私も塾の講師をする前に、受験算数を解こうとしましたが、全く理解できませんでした。その後、塾の教え方の研修を受講して、「なるほど、こう考えると理解できるんだ」…とその考え方に感心したことをよく覚えています。
線分図、面積図の基本的な使い方や、平面図形や比など。囲碁でいえば定石となる考え方が受験算数には存在します。ですから、算数は塾に任せたほうがいいと思います。

一方、理科や社会の暗記事項は、ただ覚えていくのはとってもつまらないものです。歴史的な背景や地理の知識など、お子さまの興味をひくような話ができるのであれば、してあげると暗記の手助けになりますね。また、暗記の量を競うゲームをしたりするのも、楽しくてモチベーションアップになります。

親子間で教えるとき、どうしても身内ですから感情的になってしまいがちです。「さっき教えたばかりじゃない」「今やろうとしてたんだよ!」…って(笑)。そうなると「やる気」がなくなりますので、十分注意してくださいね。

プロフィール



大人気メールマガジン「コロンブス的・超発想で中学受験を成功させる方法」の発行人で、中学受験カウンセラー。メルマガは殿堂入りを果たす。理科・替え歌暗記法のCD『愛のメモリーTM』も作成。

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