塾の学費について その1[中学受験]

少子化の影響か、子ども1人あたりにかけられる教育費はかなりの高額になっている。特に、中学受験には教育費を惜しまない親が多いとされてきたが、実態はどうかを調査した。
塾の学費について「(中学校)受験にかかった費用についてお聞きします。小学6年生の1年間では、受験のためにどの程度の費用がかかりましたか?」というアンケートを行い、有効回答は48件であった。回答の選択肢は、以下のとおり。
選択肢:(1)49万円以下 (2)50~69万円 (3)70~99万円 (4)100~149万円 (5)150~199万円 (6)200~249万円 (7)250万円以上

(1)49万円以下
すべての保護者が、受験にかけた費用は「妥当」と回答しており、「家での負担が多かったので費用は安くあがったが、逆の場合は必然的に高くなってもやむを得ない」のように塾にかけなかった分、ご家庭で指導した例が見受けられる。

(2)50~69万円 (3)70~99万円
(2)または(3)と回答した保護者は受験にかけた費用は「高い」と「妥当」の回答がほぼ同数で、「中学受験はもともと誰もがすべきことではない(=選ばなければしなくてもよい)のだから、ある程度お金がかかるのはやむをえないことだが、現実的には厳しい」「通塾は2年間、授業料は安めの地元塾でしたので、高くもなく安くもなく我が家らしく受験できたと思います」のように二つに分かれる。

(4)100~149万円 (5)150~199万円
(4)または(5)と回答したほとんどの保護者は、受験にかけた費用は「高い」という回答で、「はっきり申し上げて高すぎます。これだけの費用をかけるということは、限られた人しかチャレンジできないことになります。また、この費用のしわよせが生活にずしりとひびきます。洋服、靴、食品……すべて抑えなければなりません。レジャーなんてとんでもない」「ある程度お金をかけないと合格は難しい。本当に実力のある有望な子が受かりにくくなっている。皆で走りすぎていると思う(特に低学年のころから走りすぎている)。」のような回答が多い。

(6)200~249万円 (7)250万円以上
(6)または(7)と回答したほとんどの保護者は、受験にかけた費用は高いとも妥当も言えないという回答で、「かけていなければ今の子どもになっていなかったように思います。損はしていないと思います」「親ができるのは、子どもに機会・チャンスをあげること。実際に勉強するのは子どもなので、お金をかけたことより、子どもがよく最後までがんばったと思う」のような例が多い。

中学受験にどれだけ費用をかけるか、また、受験にかけた費用が「高い」と思うか、「妥当」と思うかは、ご家庭によっても異なる。(4)または(5)と回答したほとんどの保護者が、受験にかけた費用は高いという回答だったが、より多くの費用をかけている(6)または(7)と回答したご家庭では、費用は高いとも妥当も言えないという回答であったことが象徴的であった。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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