私立中高一貫校の学校マップ 教師の人物像2[中学受験]

前回からの続きで、教師の人物像から学校の雰囲気を分析する。先生の流動性が少ないためか、昔から私立の学校には名物先生がいて、学校の特徴となっている場合もあるが、今回の調査では、データ数は少ないながら教師の人物像が男子校・女子校・共学校や各学校でも特徴があることがわかった。

(4)ゆったりとしている:
男子校では麻布・栄光学園・開成・駒場東邦・独協、女子校では跡見学園・晃華学園・女子聖学院・フェリス女学院・横浜女学院・立教女学院、共学校では青山学院・慶応義塾湘南藤沢・渋谷教育学園渋谷にゆったりとした先生が多い。
逆に、女子校で「いない」という回答者がいた学校はなかったが、男子校では浅野・京華・攻玉社・函館ラ・サール、共学校では江戸川学園取手・国学院久我山・広尾学園にゆったりとした先生があまりいない。
全体的には、ゆったりとした先生が「1.多い」学校は女子校(50%)に多く、男子校(26%)に少なく、共学校(33%)はその中間になっている。しかし、ゆったりとした先生が「3.あまりない」学校は男子校(15%)・女子校(0%)に少なく共学校(25%)に多い。男子校では「2.まあ多い」学校が多いことがわかる。

(5)包容力がある:
男子校では麻布・栄光学園・開成・駒場東邦、女子校では跡見学園・晃華学園・横浜女学院・立教女学院、共学校では青山学院・栄東・渋谷教育学園渋谷に包容力のある先生が多い。
全体的には、包容力がある先生が多い学校は、男子校(22%)・女子校(29%)に比べ、共学校(33%)に多いが、包容力があまりない先生が多い学校も、男子校(7%)・女子校(12%)に比べ、共学校(25%)に多い。

(1)~(5)をまとめると、厳格で学識・教養が深い先生が多いのは男子校。ホスピタリティがあり、ゆったりとした先生が多いのは女子校。ホスピタリティがあり、包容力がある先生が多いのは共学校という傾向がある。

さらに、「在籍者アンケート」で「良い先生だと思う教師はどれだけいますか?」という質問をした。「1.多い」「2.まあ多い」「3.あまりない」で、どれだけ良い先生がいるかがわかることで、男子校・女子校・共学校や各学校の雰囲気がつかめるのではないだろうか。
男子校では浅野・麻布・栄光学園・開成、女子校では跡見学園・吉祥女子・横浜女学院・立教女学院、共学校では国学院久我山・栄東・渋谷教育学園渋谷に在籍生が「良い先生だ」と思う教師が多い。
全体的には、「3.あまりない」という回答は男子校・女子校・共学校とも10%に満たない数値で、「2.まあ多い」を含めるとほとんどの学校で良い先生が多いことがわかる。良い先生が「1.多い 」と回答した在籍者が多かった学校は、共学校に多く、男子校に少ない傾向にある。男子校では超難関の受験校に良い先生が多いことが目立つ。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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