私立中高一貫校の学校マップ 在校生の母親1[中学受験]

「我が子に合った学校」を志望校として選定するためには、学校案内を熟読し、学校説明や文化祭などの学校訪問を行うことが一般的な調査方法である。しかし、市販されている学校案内では学校情報が不十分で学校の中身まではわからないし、学校訪問を行っただけではわからない学校情報もある。
そこで、人気のある私立中高一貫校の在籍者・保護者にアンケート(以下「在籍者アンケート」と言う)を行い、在籍している学校の内容が入学前の予想と入学後の現実でどのような違いがあったかを私立中高一貫校の学校マップとしてまとめ、これから中学受験をめざす受験生・保護者のために出版したいと考えている。

まだ、データ件数が少ないので、出版するためにはさらにデータを集めなければならないが、これまでのデータを集計・分析してみると興味深い分析結果が出たので一部を紹介しよう。

「入学後、お子さんは学校生活を楽しく送っていますか? 楽しいと回答した場合その理由は?」という質問に対し、当たり前のことかもしれないが「親しい友人が多いから」という答えが最も多かった。
クラスで席が近かったり、部活や委員会が同じだったりしても、気が合わなければ友人にはなれない。気が合うためには、少なくとも家庭文化が近いことが条件の一つとなる。あまりにも家庭文化が違えば話も合わないであろう。
家庭文化の違いは在校生の母親を見ればわかるが、私立中高一貫校では、母親の雰囲気が学校ごとに違うように思える。在校生の家庭文化を見るためには、文化祭では在校生の母親の雰囲気を、学校説明会では志願者の母親の雰囲気を観察し、我が家の文化と同じかどうかを調査する必要がある。

「在籍者アンケート」で「母親どうしの食事会で1回当たりの金額は?」という質問を行った。家庭での金銭感覚がわかる。
全体的には、母親どうしの食事会の1回当たりの金額は、男子校は平均2,565円、女子校は平均2,375円、共学校は平均3,833円で、共学校は高い。「2,500円以下」という回答は女子校に多く、共学校は少なかった。全体の平均では2,695円。
1回当たりの食事金額が1,000~2,500円と比較的安いのは、男子校では浅野・麻布・開成・攻玉社・城北・世田谷学園(あいうえお順、以下同様)、女子校では共立女子・女子聖学院・清泉女学院・フェリス女学院・富士見・立教女学院、共学校では公文国際学園・渋谷教育学園渋谷。
一方、1回当たりの食事金額が5,000円以上と高いのは、男子校では駒場東邦、共学校では慶応義塾湘南藤沢・国学院大学久我山・広尾学園で、女子校では5,000円以上の学校はなかった。

食事会の1回当たりの金額が、学校によって何倍もの差がある。母親の金銭感覚が違えば、子どもの金銭感覚も違うと考えられる。同じ金銭感覚であれば、行動を共にしやすいことは事実だ。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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