今の段階で問題集などを買ってやらせたほうがよいでしょうか[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小1男子のお母様質問
1年生ですが、将来中学受験を目指しています。算数は3歳から勉強を始めているので、他科目の勉強が始まるまでに進めるところまで進ませたいと考えています。今、分数・小数の混ざった掛け算・割り算を公文の教材に沿ってやっています。教材にはほとんど文章問題や図形が出てきませんが、今の段階で問題集などを買ってやらせたほうがよいでしょうか。小泉先生のアドバイス
「バランス」という視点にも注意すべきでしょう。
中学受験のための勉強は、4年生ぐらいから本格的に始めるのが一般的だと思います。そのぐらいの時期から開始して、3年弱で算数・国語・理科・社会を入試レベルまでに仕上げていきます。もちろんもう少し短期間で勉強してしまう子どももいます。それは、志望校の難易度によって準備期間の長さが違ってくるからです。
また子どもの資質によっても、準備に必要な時間は違ってきます。たとえば、年齢のわりに大人びた子どもは、勉強に対する姿勢が能動的なためなどから、他の受験生に比べより短期間で受験に必要な学力を身に付ける場合が多いようです。
さて、ご相談のお子さまは1年生ですが、「分数・小数の混ざった掛け算・割り算」を既に勉強されているとのこと。かなり先取り学習をされていることになります。このようなカリキュラムの先取り学習を、積極的に実施している子どもも少なくないと思いますが、いくつか注意すべき点はあります。
まず注意したいのは、お子さまに「過度な負担がかかっていないか?」という視点です。小学生のうちは親の期待に応えたいという気持ちが強いため、少々つらくても勉強をこなしてしまうものです。親としてはどんどん勉強する我が子を見て、さらにハードルを高くしていきます。その結果、お子さまが越えられないほどの高いハードルを設定してしまっている場合があります。小学1、2年生から塾に入れて勉強させていても、あとから入ってくる友達にどんどん抜かされ、6年生の時点では成績が低迷していたなどのケースもあります。「過度の負担」なのかどうかは、お子さまが≪苦しそうに勉強している≫か、あるいはそうでもないかによって判断できます。もし1、2年生から勉強が苦しそうであれば、途中で勉強に疲れてしまう可能性があるので注意すべきだと思います。
また、「バランス」という視点にも注意すべきです。一つの科目に注力すれば、その科目は伸びていくでしょう。そして学習の一つの方法として、ある科目を伸ばすことで他の科目を伸ばしていくという手法もあります。しかしあまりに1科目を突出させることで、他の科目を苦手にしてしまっては困ります。たとえば6年生になって算数の偏差値は70を超えているが、国語は40と低迷している生徒も少なくありません。
さらに「机の上での学習」と「体験としての学習」というバランスも考える必要があります。特に低学年から中学年にかけては、「体験」を通じてさまざまな能力を培っていく時期です。この「体験」には、理科の実験、プラネタリウムや博物館に行くなどの学習はもちろん、いわゆる「遊び」も含まれます。子どもたちはこれらの「体験」を通じて、「生きる意欲」や「考える力」を培っていきます。
それを考慮するなら、低学年において「文章題」を一題解かせる時間と、遊びを含めた「体験」をさせる時間のいずれがお子さまにとって有意義なのかは迷うところです。特に、「考える力」が試される最近の入試問題を考えると、本当に迷います。すなわち、4年生までは算数の四則計算や国語の漢字などの基礎学力を徹底的に鍛え、あとは「遊び」を含めた「体験」を重視することで「人間性」はもちろん、「考える力」や「体力」を養い、4年生になった時点で受験勉強に集中させたほうがよほど効率的なのではないかと思えるからです。
しかしこれらの思いは、これまでの私の経験に基づいた≪感覚≫以上のものではありません。お子さまのように算数をどんどん先取りすることで、才能が開花していく生徒も確かにいます。しかし生徒によっては、伸び悩みの原因を作ってしまう場合がある点にも注意してください。
中学受験のための勉強は、4年生ぐらいから本格的に始めるのが一般的だと思います。そのぐらいの時期から開始して、3年弱で算数・国語・理科・社会を入試レベルまでに仕上げていきます。もちろんもう少し短期間で勉強してしまう子どももいます。それは、志望校の難易度によって準備期間の長さが違ってくるからです。
また子どもの資質によっても、準備に必要な時間は違ってきます。たとえば、年齢のわりに大人びた子どもは、勉強に対する姿勢が能動的なためなどから、他の受験生に比べより短期間で受験に必要な学力を身に付ける場合が多いようです。
さて、ご相談のお子さまは1年生ですが、「分数・小数の混ざった掛け算・割り算」を既に勉強されているとのこと。かなり先取り学習をされていることになります。このようなカリキュラムの先取り学習を、積極的に実施している子どもも少なくないと思いますが、いくつか注意すべき点はあります。
まず注意したいのは、お子さまに「過度な負担がかかっていないか?」という視点です。小学生のうちは親の期待に応えたいという気持ちが強いため、少々つらくても勉強をこなしてしまうものです。親としてはどんどん勉強する我が子を見て、さらにハードルを高くしていきます。その結果、お子さまが越えられないほどの高いハードルを設定してしまっている場合があります。小学1、2年生から塾に入れて勉強させていても、あとから入ってくる友達にどんどん抜かされ、6年生の時点では成績が低迷していたなどのケースもあります。「過度の負担」なのかどうかは、お子さまが≪苦しそうに勉強している≫か、あるいはそうでもないかによって判断できます。もし1、2年生から勉強が苦しそうであれば、途中で勉強に疲れてしまう可能性があるので注意すべきだと思います。
また、「バランス」という視点にも注意すべきです。一つの科目に注力すれば、その科目は伸びていくでしょう。そして学習の一つの方法として、ある科目を伸ばすことで他の科目を伸ばしていくという手法もあります。しかしあまりに1科目を突出させることで、他の科目を苦手にしてしまっては困ります。たとえば6年生になって算数の偏差値は70を超えているが、国語は40と低迷している生徒も少なくありません。
さらに「机の上での学習」と「体験としての学習」というバランスも考える必要があります。特に低学年から中学年にかけては、「体験」を通じてさまざまな能力を培っていく時期です。この「体験」には、理科の実験、プラネタリウムや博物館に行くなどの学習はもちろん、いわゆる「遊び」も含まれます。子どもたちはこれらの「体験」を通じて、「生きる意欲」や「考える力」を培っていきます。
それを考慮するなら、低学年において「文章題」を一題解かせる時間と、遊びを含めた「体験」をさせる時間のいずれがお子さまにとって有意義なのかは迷うところです。特に、「考える力」が試される最近の入試問題を考えると、本当に迷います。すなわち、4年生までは算数の四則計算や国語の漢字などの基礎学力を徹底的に鍛え、あとは「遊び」を含めた「体験」を重視することで「人間性」はもちろん、「考える力」や「体力」を養い、4年生になった時点で受験勉強に集中させたほうがよほど効率的なのではないかと思えるからです。
しかしこれらの思いは、これまでの私の経験に基づいた≪感覚≫以上のものではありません。お子さまのように算数をどんどん先取りすることで、才能が開花していく生徒も確かにいます。しかし生徒によっては、伸び悩みの原因を作ってしまう場合がある点にも注意してください。