文章をキチンと読めば答えが導き出せるような問題が、全然違う答えになる[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


質問者
性別:女子
相談者:母
学年:小4

質問
問題文の一部に線が引いてあって、「その箇所は、何について説明しているのでしょうか?」「その箇所の言葉がわかるのはどこでしょうか?」といった、文章をキチンと読めば答えが導き出せるような問題で、何処を見ているのか、全然違う答えになります。問題の傍線部の前後をよく読むようには説明しているのですが。

小泉先生のアドバイス
「同じ言葉」や「似ている言葉」がないかという観点で文章を探してみましょう

ご質問の内容は、説明文や論説文における「こと問題」の解き方についてだと思います。たとえば問題文中のある箇所に傍線が引かれていて、「―――3『信じられないような』とありますが、どんな点が信じられないのですか」というように問われる問題です。答えとしては「~点(~こと)」になるので、このような問題は「こと問題」と言われています。

さて解き方ですが、答えは本文中にあるはずですから、問題文をキチンと読めば答えを見出せるはずです。しかし、説明文が苦手なお子さまにはなかなか見つけられないようです。そして、ご相談のとおり、全然違うものを書いてしまう場合もあります。
そのような場合は、まずは問いに答える以前の問題として、その文章の内容をある程度理解しているかどうかを確認してください。問題文を読み終えても、何が書いてあるか説明できなければ、問いに正しく答えることはできません。もちろん主旨をスラスラと言えればそれに越したことはありませんが、そこまででなくても、大体の内容を説明できる程度の理解は必要です。もしそれができなければ、まずは「読む力」からつける必要があります。

ある程度内容がわかっているようであれば、次は「解き方」です。ここで大切なことは、答えを探すための手掛かりを見つけることです。
一つの方法としては、傍線部やその前後の「言葉」に注目して、それと「同じ言葉」や「似ている言葉」がないかという観点で文章を探してみましょう。たとえば本文中の傍線部とその前後が、「~なるほど信じられないような生活です。」だったとします。注目すべき言葉は、「信じられない」「生活」などになります。もし本文のどこかに「○○の生活」とあれば、この「○○」と「信じられない」は、≪「○○」=「信じられない」≫という関係になる可能性があります。あるいは「生活」ではなくて「暮らし」であったり、「信じられない」ではなくて「驚いている」と言い換えられていたりする場合もあるでしょう。
問いがやさしければ、傍線部の近くにあることが多いと思います。たとえば傍線部の3行前に、「△△△になると言って、外国の人は驚きます」という箇所が見つかったとします。「信じられない」=「驚きます」ですから、「△△△になる(点)が信じられない」と言い換えられます。実際に言い換えてみて、意味が本文の内容に沿っているようであれば、「△△△になる(点)」が答えの候補です。≪15字以内≫など問いの条件があれば、それにも注意しましょう。

このようにして答えを見つけていきますが、問題文や問いの設定によっては、この方法ではなくて、他の方法が必要な場合もあります。しかし「同じ言葉」や「似ている言葉」などの言葉に注目して探すやり方は、かなり効果的だと思います。しかもこれらの言葉をヒントにするのは具体的で、お子さまにもすぐに使える方法です。ぜひ一度、試してみてください。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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