問題文の数字を使い、その答えに合うような計算式を作っているようです[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小3男子のお母さま


質問

文章題を読むのが面倒臭いらしく、途中まで読んで勝手にそのあとを想像して答えを書いています。国語の文章題は国語だからちゃんと読んでいるのですが、算数だときちんと読みません。直感で答えはわかるらしく最終的な答えは合っていますが、その答えに合うような計算式を問題文の数字を使って作っているようです。


小泉先生のアドバイス

タイミングを見計らって声掛けを行う。しかし、実はもうひとつ問題が残されている……。

小学3年生ですと、文章題もまだまだ簡単なものが多く、確かに直感で答えがわかるような問題や、数字を適当に計算すれば答えが出るものも少なくないと思います。たとえば次のような問題でしょうか。


【問 題】
1こ250円のおまんじゅうが1箱に4こ入っています。このおまんじゅうを3箱買うと代金はいくらになりますか。なお、箱代は無料です。


このような問題を解く時は、「1箱の代金は250×4=1000(円)。それを3箱買うのだから、1000×3=3000(円)」と考えると思います。しかし、「数字は250、4、3の3つ。250÷3とか250÷4は割り切れないし、250+4+3はありえそうもないので、250×4×3かな? 計算してみると、答えは3000で代金としては良さそう!」というように、あてずっぽうで解いてしまうということでしょう。
しかし、問題が簡単なうちはこれでも答えは出ますが、より複雑になってくると、さすがに数字の組み合わせでは正解は出せなくなります。最終的な答えも正解にならないことが多くなると思いますので、タイミングを見計らって、「問題文をきちんと読みなさい」「問題の内容を理解してから解きなさい」というような声掛けを行うと良いと思います。「直感でわかる」というのはある意味すばらしいことですから、問題文を読まなければ解けないことが納得できれば、きちんと読んでしっかり解くようになると思います。

さて、問題文をしっかり読むようになっても、実はもうひとつ問題が残されています。それは、たてた式の意味を考えずに問題を解いている子どもが少なくないということです。算数の問題を解く時の手順としては、問題文を読み、その問題がどの単元かを認識し、その単元特有の解法に従って式をたてて解いていきます。そばで見ていても、スムーズに解き進めていると、何も問題がないように思えます。しかし、たてた式の意味をたずねても、しっかりとした回答が返ってこない場合があるのです。あるいは、「このようなやり方で解くように授業で習ったから」という答えしか返ってこないのです。
つまり、彼らは解き方のパターンを覚えて解いているのであって、その意味を理解するまでには至っていないということです。このような子どもたちは、少しひねった応用問題を解こうとすると、パニックを起こして手が止まってしまうことが多いのです。偏差値で考えれば、50ちょっとまでは行きますが55を超えることはなかなか難しいようです。

より上のレベルを目指すのであれば、問題文の内容はもちろん、式の意味も理解していることが必要です(もちろん、中学校や高校以上の数学を学ばないと理解できないような内容は除きます)。そのためには、中学年のころより意味を考えながら問題を解くクセをつけておくべきでしょう。今回のご質問のお子さまも良い機会ですから、問題文だけではなく、式の意味も意識するように指導してあげると良いと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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