空想的・複雑な心情表現のある物語が苦手[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
国語の読解ができる時とできない時の差がすごくあります。論説や説明などは比較的できるのですが、空想的な物語や少女の複雑な心情表現のある物語などが苦手です。なんとかしようと音読をさせると読みが遅くてつっかえやすく時間がかかるため、他の教科の勉強もあるので、あまり音読には取り組めません。読書は好きでも嫌いでもなく、気が向いたら、あるいはすすめられたら、読んでいるような状態です。
質問者
小5男子のお母様質問
空想的な物語や少女の複雑な心情表現のある物語などが苦手です。国語の読解ができる時とできない時の差がすごくあります。論説や説明などは比較的できるのですが、空想的な物語や少女の複雑な心情表現のある物語などが苦手です。なんとかしようと音読をさせると読みが遅くてつっかえやすく時間がかかるため、他の教科の勉強もあるので、あまり音読には取り組めません。読書は好きでも嫌いでもなく、気が向いたら、あるいはすすめられたら、読んでいるような状態です。
小泉先生のアドバイス
問題演習を通じて女の子の気持ちを理解させる
最近の入試問題では、複雑な少女の気持ち、特に男女関係に関する女の子の気持ちを考えさせる問題が目立つようになりました。一昔前にはそれこそ「恋の予感」であったものが、「恋」や場合によっては「愛」までをテーマにした物語が出題されます。
こういった内容の問題文を解かせると、女子は非常に優秀です。彼女たちは少女漫画で鍛えられているせいでしょうか、女の子の気持ちでも男の子の気持ちでも実に良くわかります。しかし男子の場合は、かなり苦戦する場合が多いようです。この時期における男女の「大人度」の差は非常に激しく、女子と男子を比べると女子のほうがかなりお姉さんであると言えるのでしょう。
さて男の子に女の子の気持ちを理解させるには、読書よりも問題演習を通じてのほうが実践的だと思います。なぜなら、5年生の段階では、国語の勉強としての読書の時間はなくなってくると思われるからです。読書よりも男女の「恋」や「愛」をテーマにした問題文を解かせ、それを分析したほうがはるかに能率的です。
たとえば2008(平成20)年の武蔵中学校の問題は、主人公である女の子の微妙な気持ちを理解しなければ、なかなか解ける問題ではありません。さらに武蔵の場合は設問形式がすべて記述ですから、ごまかしがきかないのです。私のクラスでも「過去問対策」としてこの問題を扱いましたが、生徒達はかなり苦戦していました。いわく、「(主人公の)女の子の気持ちはわからん!」の連発でした。
それでも、場面ごとに登場人物の行動と気持ちを詳しく考えていくと、女の子という、自分たちとは思考回路がやや違う人たちに、あらためて出会えたようです。日常生活では勉強に追われていることもあるでしょうが、そもそも男女が一緒になって遊ぶ機会があまりないのかもしれません。
ところで、塾であれば先生が生徒を指導しますが、ご家庭ではどうするかという問題は残ります。おそらくこの役目は、お母さんにやっていただくことになると思います。「子どもに女の子の気持ちを教えるのは気恥ずかしいし、そもそもそんな指導力はない」としり込みされるお母さんもいらっしゃるかんもしれませんが、充実した解答・解説があれば指導は可能だと思います。たとえばお母さんが事前に問題文を読み、自分なりに答えを考え、さらに模範解答をじっくり読んでみてください。するとお子さまに指導すべき内容が、しっかり模範解答に書いてあることに気が付かれると思います。たとえば「人は外面的な様子と心の中で感じていることが大きく違っていることがある」ということです。
もちろんどうしても親子では教え難いのであれば、家庭教師や個別指導の先生に依頼する手はありますが、指導してみると案外楽しくお子さんと向き合えると思います。「人間って、複雑だね。だから面白いんだね。」とお子さまが思えたら、まずは親子学習の成果が上がったと言えるでしょう。
以下に男女の「恋」や「愛」が出てくる問題文の出題例をいくつか挙げておきますので、親子学習の時の教材にお使いいただければと思います。
最近の入試問題では、複雑な少女の気持ち、特に男女関係に関する女の子の気持ちを考えさせる問題が目立つようになりました。一昔前にはそれこそ「恋の予感」であったものが、「恋」や場合によっては「愛」までをテーマにした物語が出題されます。
こういった内容の問題文を解かせると、女子は非常に優秀です。彼女たちは少女漫画で鍛えられているせいでしょうか、女の子の気持ちでも男の子の気持ちでも実に良くわかります。しかし男子の場合は、かなり苦戦する場合が多いようです。この時期における男女の「大人度」の差は非常に激しく、女子と男子を比べると女子のほうがかなりお姉さんであると言えるのでしょう。
さて男の子に女の子の気持ちを理解させるには、読書よりも問題演習を通じてのほうが実践的だと思います。なぜなら、5年生の段階では、国語の勉強としての読書の時間はなくなってくると思われるからです。読書よりも男女の「恋」や「愛」をテーマにした問題文を解かせ、それを分析したほうがはるかに能率的です。
たとえば2008(平成20)年の武蔵中学校の問題は、主人公である女の子の微妙な気持ちを理解しなければ、なかなか解ける問題ではありません。さらに武蔵の場合は設問形式がすべて記述ですから、ごまかしがきかないのです。私のクラスでも「過去問対策」としてこの問題を扱いましたが、生徒達はかなり苦戦していました。いわく、「(主人公の)女の子の気持ちはわからん!」の連発でした。
それでも、場面ごとに登場人物の行動と気持ちを詳しく考えていくと、女の子という、自分たちとは思考回路がやや違う人たちに、あらためて出会えたようです。日常生活では勉強に追われていることもあるでしょうが、そもそも男女が一緒になって遊ぶ機会があまりないのかもしれません。
ところで、塾であれば先生が生徒を指導しますが、ご家庭ではどうするかという問題は残ります。おそらくこの役目は、お母さんにやっていただくことになると思います。「子どもに女の子の気持ちを教えるのは気恥ずかしいし、そもそもそんな指導力はない」としり込みされるお母さんもいらっしゃるかんもしれませんが、充実した解答・解説があれば指導は可能だと思います。たとえばお母さんが事前に問題文を読み、自分なりに答えを考え、さらに模範解答をじっくり読んでみてください。するとお子さまに指導すべき内容が、しっかり模範解答に書いてあることに気が付かれると思います。たとえば「人は外面的な様子と心の中で感じていることが大きく違っていることがある」ということです。
もちろんどうしても親子では教え難いのであれば、家庭教師や個別指導の先生に依頼する手はありますが、指導してみると案外楽しくお子さんと向き合えると思います。「人間って、複雑だね。だから面白いんだね。」とお子さまが思えたら、まずは親子学習の成果が上がったと言えるでしょう。
以下に男女の「恋」や「愛」が出てくる問題文の出題例をいくつか挙げておきますので、親子学習の時の教材にお使いいただければと思います。
2008年: | 武蔵・今江祥智『帽子の運命』/大妻多摩・三木卓『はるかな町』 |
2007年: | 駒場東邦・草野たき『ハーフ』/学習院女子・川島誠『バトン・パス』/学習院中等科・重松清『雨やどり』/芝・福本武久『湖の子たちの夏』/西武学園文理・木山捷平『うけとり』 |
2006年: | 学習院中等科・田口ランディ『ひかりのメリーゴーラウンド』/田園調布学園・川上健一『翼はいつまでも』 |