保護者が最重視する志望校選択事項は? その5[中学受験]

「保護者が最重視する志望校選択事項」についての保護者アンケートでは、全体としてほとんどの事項で、どの学校ランクでも、ほぼ同じ%になっていた。また学校アンケートでは、「5.教育方針」と「6.校風」でどちらを重視するかの違いはあるものの、保護者アンケートと同様、学校ランクごとの違いは少ないと言える。

今回は、「保護者が最重視する志望校選択事項」について、保護者と学校の回答を学校種別で分析する。具体的には、学校種別ごとに、どのような違いがあるかについて調査し、「保護者が最重視する志望校選択事項」について保護者アンケートと学校アンケートを比較した(保護者アンケートでは、第1~3志望がすべて男子校、女子校、共学校のいずれかに統一されているかたのアンケートのみをデータとした)。

【図1:学校種別ごとの保護者による「学校のイメージ・教育サービス」の中で重視する事項(保護者アンケート)】
図1:学校種別ごとの保護者による「学校のイメージ・教育サービス」の中で重視する事項(保護者アンケート)


【図2:学校種別ごとの学校による「学校のイメージ・教育サービス」の中で重視する事項(学校アンケート)】
図2:学校種別ごとの学校による「学校のイメージ・教育サービス」の中で重視する事項(学校アンケート)


保護者アンケートの【図1】を見ると、学校種別では、男子校志望者は「6.校風」、女子校志望者は「1.全般的な評判」、共学校志望者は「7.男子・女子・共学校」を最重視する保護者が多い。「7.男子・女子・共学校」=学校種別にこだわりが強いのは男子校志望者でも女子校志望者でもなく、共学校志望者であることがわかる。また共学校志望者は、「4.志望校のクラブ」を最重視する保護者も多い。その分、「6.校風」を最重視する保護者は少ない。
学校アンケートの【図2】を見ると、男子校は「5.教育方針」を最重視する学校が多く「1.全般的な評判」は多くない。女子校は「6.校風」を最重視する学校が多く「8.大学合格実績」は少ない。共学校は「1.全般的な評判」を最重視する学校が多い。

保護者アンケートの【図1】と学校アンケートの【図2】を学校種別ごとに差(保護者% - 学校%)を取ることで保護者と学校のズレを調べてみよう。
すると、志望校選定で最重視する事項の1位で、保護者と学校の差が大きいのは、
男子校の「6.校風」(24%)「1.全般的な評判」(-11%)「8.大学合格実績」(-11%)、女子校の「6.校風」(9%)「1.全般的な評判」(-12%)、共学校の「7.男子・女子・共学校」(21%)「4.志望校のクラブ」(12%)「1.全般的な評判」(-26%)「8.大学合格実績」(-15%)となる。志願者と学校のズレが最も小さいのは女子校で、最も大きいのは共学校、男子校はその中間である。

通常、受験生の性別の違いから、男子校志望の保護者と女子校志望の保護者で最重視する志望校選択事項に大きな違いがあるように思えるが、実際には男子校志望の保護者と女子校志望の保護者の違いよりも、共学校志望の保護者と男子校・女子校志望の保護者の違いのほうが大きいということは意外である。しかも、この傾向は保護者だけでなく、学校でも同様に、男子校・女子校と共学校との違いが大きいのである。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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