保護者が最重視する志望校選択事項は? その1[中学受験]

5月28日6月3日のコラムで紹介したように、学校も保護者も志望校選定で重視する要素の優先順位は「教育サービス(大学合格実績・教育方針・校風等)」が1番目で、2番目は「学校のイメージ(志望校難易度・施設・制服・伝統等)」であった。また6~7月のコラムでは、3番目に重視している「立地・環境」=通学時間について話をした。(【表1】参照)

【表1 志望校選定で重視する要素(学校アンケートと保護者アンケート)】
志望校選定で重視する要素(学校アンケートと保護者アンケート)
※百分比(%)は小数第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和と合計を示す数値とが一致しない場合がある。

今回は、「教育サービス」と「学校のイメージ」の内訳事項の中で、保護者が最重視する志望校選択事項は何かを分析する。
【表2】は、中学受験を志望する452名の保護者が参加したアンケートで作成した資料である。アンケートの設問では「志望校選定の際、学校のイメージ・教育サービスの中で重視する事項は何か?」を「1.(志望校の)全般的な評判」「2.志望校の施設」「3.志望校の制服」「4.志望校のクラブ(活動)」「5.教育方針」「6.校風」「7.男子・女子・共学校」「8.大学合格実績」「9.大卒後の就職実績」「10.その他」の内訳事項のうちで重要だと思う順に1位~3位を選んでもらった。

【表2 志望校選定で、「学校のイメージ・教育サービス」の中で重視する事項(保護者アンケート)】
志望校選定で、「学校のイメージ・教育サービス」の中で重視する事項(保護者アンケート)
※百分比(%)は小数第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和と合計を示す数値とが一致しない場合がある。

【表2】を見ると、全体(計)では、「5.教育方針」と「6.校風」で保護者の25%以上ずつを占めており、次に重視している「1.全般的な評判」と「8.大学合格実績」で保護者の約15%ずつを占めており、これら四つの事項で80%以上を占めていることがわかる。
優先順位では、1位を「5.教育方針」、「6.校風」とした保護者が各々約3分の1で、「5.教育方針」を1位にした場合は「6.校風」を2位に、「6.校風」を1位の場合は「5.教育方針」を2位にしているようである。そして「1.全般的な評判」と「8.大学合格実績」を3位にしている保護者が多いことがわかる。

また、1位では、「5.教育方針」と「6.校風」を足すと保護者の65.0%と大多数を占めており、「1.全般的な評判」は16.8%で全体(計)とほぼ同じ%だが、「8.大学合格実績」を1位とする保護者は5.8%と全体(計)よりも減少している。

学校の大学合格実績が伸びると、大手塾の学校偏差値が上がる傾向があるくらい、大学合格実績は重要な要素なので、志望校選定で「8.大学合格実績」を重視する事項の1位とする保護者がこれほど少ないとは意外であった。
保護者が志望校選定を行う時、6~7月のコラムでも紹介したように、限度通学時間と受験生の学力は志望校選定の制限要素と考えられる。受験生の学力で合格できる学校には上限があるので、上限となる学校偏差値が同程度の学校ならば大学合格実績に大きな差はないと考え、「5.教育方針」または「6.校風」を志望校選択事項として最重視するのではないだろうか? しかし、実際には学校偏差値が同程度の学校でも大学合格実績には大きな差があるのだ。詳しくは『入りやすくてお得な学校』(ダイヤモンド社)参照。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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