保護者が最重視する志望校選択事項は? その3[中学受験]

以前にも述べたように、保護者アンケートの%は数の割合を示すもので、値が大きいからといって正しいとか、間違っているということではない。単に、そのように考える保護者が多いということである。これは保護者が最重視する志望校選択事項でも同様で、保護者の価値観や家庭の文化などが異なれば、当然重視する事項は異なり、志望校を選択するための最重視する事項はいくつかの事項に分かれるはずである。

今回は志望校の学校偏差値ごとに分類して、保護者が最重視する志望校選択事項は、学校難易度でどのような違いや傾向があるかを分析してみたい。(学校難易度は、保護者アンケートの第1志望校名から、四谷大塚の偏差値を基準とした学校難易度で分類した。)

【表 「学校のイメージ・教育サービス」の中で重視する事項(保護者アンケート:難易度別)】
「学校のイメージ・教育サービス」の中で重視する事項(保護者アンケート:難易度別)
※百分比(%)は小数第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和と合計を示す数値とが一致しない場合がある。

【表】は保護者アンケートの「学校のイメージ・教育サービス」の中で重視する事項の1位だけを志望校の学校難易度ごとに集計したものである。【表】を見ると、(計)全体では、「5.教育方針」または「6.校風」とした保護者がそれぞれ3分の1で30.8~33.3%、「1.全般的な評判」は16.3%で、以下、「7.男子・女子・共学校」は6.3%、「8.大学合格実績」は5.8%となっている。他の事項は、ほとんど0~3%で最重要視されていないことがわかる。
「5.教育方針」は、偏差値60以上、偏差値50未満でほとんど同じで、偏差値50~60未満のみ値が多少高い。
「6.校風」と「1.全般的な評判」は、全カテゴリでほとんど同じ。
「7.男子・女子・共学校」は、偏差値60以上、偏差値50~60未満でほとんど%が同じで、偏差値50未満のみ多少%が高い。
「8.大学合格実績」は、偏差値50~60未満、偏差値50未満でほとんど%が同じで、偏差値60以上のみ多少%が高い。

これまでに行った「家庭における志望校の決定権者」や「平均通学時間・限度通学時間」についての保護者アンケートでは、学校難易度が異なれば保護者の思考は異なり、一部の分析では、学校難易度の高低による傾向も見られていた。しかし、今回ご紹介した保護者アンケートでは、どの学校ランクでも全体としてほとんどの「保護者が最重視する志望校選択事項」で、ほぼ同じ値になっていた。
このことから、保護者が最重視する志望校選択事項は、保護者の状況や考え方でいくつかに分かれるが、志望校の学校難易度ごとに分類しても、保護者が最重視する志望校選択事項の%は、ほとんど変わらないと言える。つまり、志望する学校難易度には関係なく、最重視する志望校選択事項が異なる保護者が一定の割合で存在するということができる。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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