私立中学受験の志望校決定権者は誰か その5[中学受験]
ところで、その1、2、3、4で見てきたように、学校と志望者(保護者と本人:以下同)の意識のズレが起こるのはなぜだろうか?
【図 志望校の第1決定権者の差〔保護者アンケート(%)—学校アンケート(%):学校種別〕】
【表 志望校の第1決定権者の差〔保護者アンケート(%)—学校アンケート(%):学校種別〕】
【図】【表】は、志望校の第1決定権者(決定権が強いと思う上位3つの内の1位)の、予想(学校アンケート)と実際(保護者アンケート)の差を学校種別に分類して集計したものである。
志望校の第1決定権者の予想と実際は、共学校だけではなく男子校・女子校でも大きな差があり、「2.受験生の母親」が多いと予想した学校と「3.受験生本人」とした志望者の意識にズレが大きいことがわかる。
これまで、受験生の母親が志望校決定で最も強い権限を持っていたことを前提にして考えると、「2.受験生の母親」と予想した学校は保守的で、「3.受験生本人」とした学校は革新的であると仮定してみる。そうすると面白いことに男子校は革新的な学校が多く、女子校と共学校は保守的な学校が多いことになる。実は運営面の実態とはこれは真逆である。そこが面白い。
また、共学校を志望する受験生・保護者は「3.受験生本人」とした割合が多く、「2.受験生の母親」とした割合は極めて少ない。共学校の志望者は革新的な受験生・保護者であると言える。共学校は、女子校から新たにリニューアルした学校もあり、その意味では新しい=革新的というイメージがあるが、女子校からリニューアルしても学校の先生方が変わることもないので、女子校と同様に保守的であることに不思議はない。保守的であることが悪いことではなく、むしろ好ましいことだと思うが、新しい=革新的というイメージで共学校を志望する受験生・保護者は革新的であり、結果として、共学校では、学校と受験生・保護者の間に大きな意識のズレが生まれやすいのではないか。
保護者が志望校を決定せずに受験生本人が決定する家庭が多いのは、保護者は志望校を決めるための学校情報がなく、志望校の決定方法が偏差値や入試問題以外にないことが原因と考えられる。学校情報を収集するために苦労している保護者が多いことは、今回の保護者アンケートでも明確である。我が子に合った志望校を選択できず、最終的には子どもの選択に委ねる結果になる。子どもに志望校の決定権を与えることで、一つ良い点としては、自分で選択した学校だから前向きに学校生活を送ることが考えられるが、小学6年生の子どもに、自分に合った志望校を決めるだけの十分な判断力はないと考えるべきで、本当に子どもに合った学校があれば、保護者が志望校を決めるのが自然ではないだろうか?
そのためには、学校は、もっと積極的に保護者が欲している学校情報を、受験生本人にもわかりやすく発信すべきではないだろうか? そうすれば偏差値だけで志望校を決定することもなく、我が子に合った志望校を保護者と受験生本人で検討・納得することができる。それが健全な志望校の決定方法であり、学校と志望者の意識のズレも小さくなる。
【図 志望校の第1決定権者の差〔保護者アンケート(%)—学校アンケート(%):学校種別〕】
【表 志望校の第1決定権者の差〔保護者アンケート(%)—学校アンケート(%):学校種別〕】
【図】【表】は、志望校の第1決定権者(決定権が強いと思う上位3つの内の1位)の、予想(学校アンケート)と実際(保護者アンケート)の差を学校種別に分類して集計したものである。
志望校の第1決定権者の予想と実際は、共学校だけではなく男子校・女子校でも大きな差があり、「2.受験生の母親」が多いと予想した学校と「3.受験生本人」とした志望者の意識にズレが大きいことがわかる。
これまで、受験生の母親が志望校決定で最も強い権限を持っていたことを前提にして考えると、「2.受験生の母親」と予想した学校は保守的で、「3.受験生本人」とした学校は革新的であると仮定してみる。そうすると面白いことに男子校は革新的な学校が多く、女子校と共学校は保守的な学校が多いことになる。実は運営面の実態とはこれは真逆である。そこが面白い。
また、共学校を志望する受験生・保護者は「3.受験生本人」とした割合が多く、「2.受験生の母親」とした割合は極めて少ない。共学校の志望者は革新的な受験生・保護者であると言える。共学校は、女子校から新たにリニューアルした学校もあり、その意味では新しい=革新的というイメージがあるが、女子校からリニューアルしても学校の先生方が変わることもないので、女子校と同様に保守的であることに不思議はない。保守的であることが悪いことではなく、むしろ好ましいことだと思うが、新しい=革新的というイメージで共学校を志望する受験生・保護者は革新的であり、結果として、共学校では、学校と受験生・保護者の間に大きな意識のズレが生まれやすいのではないか。
保護者が志望校を決定せずに受験生本人が決定する家庭が多いのは、保護者は志望校を決めるための学校情報がなく、志望校の決定方法が偏差値や入試問題以外にないことが原因と考えられる。学校情報を収集するために苦労している保護者が多いことは、今回の保護者アンケートでも明確である。我が子に合った志望校を選択できず、最終的には子どもの選択に委ねる結果になる。子どもに志望校の決定権を与えることで、一つ良い点としては、自分で選択した学校だから前向きに学校生活を送ることが考えられるが、小学6年生の子どもに、自分に合った志望校を決めるだけの十分な判断力はないと考えるべきで、本当に子どもに合った学校があれば、保護者が志望校を決めるのが自然ではないだろうか?
そのためには、学校は、もっと積極的に保護者が欲している学校情報を、受験生本人にもわかりやすく発信すべきではないだろうか? そうすれば偏差値だけで志望校を決定することもなく、我が子に合った志望校を保護者と受験生本人で検討・納得することができる。それが健全な志望校の決定方法であり、学校と志望者の意識のズレも小さくなる。