精神面重視であれば……[中学受験]

さて、最大の人気ゾーンが「生徒文化・生活面では自主性重視/学習面では非管理型の精神面重視」、次いでこれにほとんど変わらず「生徒文化・生活面では自主性重視/学習面では管理型・非管理型の中庸」というゾーンが人気であった。各々、前者は保護者の26%が支持、後者は24%が支持という状況である(当方の保護者アンケート結果)。
これに次いで人気が高いのは、少し支持率が下がって15%となるが、「生徒文化・生活面では管理型と自主性重視の中庸/学習面では非管理型の精神面重視」というゾーンである。
つまり学習をガリガリやらせるのではなく人格形成に重点をおき、生徒文化は自主性重視と管理面重視の中間である、というゾーンとなる。

これまでの傾向で見られたように、保護者の支持も学校のタイプ(志向)も、生徒文化・生活面では管理的であるよりも自主的であるほうが人気が高かったが、学習面でも、しっかり勉強させるタイプと、精神面(学習に向かうモチベーション)を重視するタイプでは、やはり前者を支持する保護者が18%なのに対して、後者の支持は45%と圧倒的なのである。
こういう保護者のニーズというのは、思春期の我が子を預ける中等教育であるのだから、当然といえば当然なのだが、改めてこれだけの支持の差が出てみると、さすがにその保護者の気持ちの強さを思わずにはいられない。

ところがところが、実は学校の自らのタイプ分けではこの比率は逆転する。
すなわちしっかり勉強させるタイプの学校が34%、モチベーション作りなどの精神面を重視する学校が26%と、管理型学習派を自認する学校が多くなっている。
従って今回のテーマである「生活では管理型と自主性重視の中庸/学習では精神面重視」というタイプは、上記の傾向を受けて保護者の支持が15%であるのに、学校は7%と意外に少ない。
具体的に言えば男子の浅野中学校(神奈川)、京華中学校、巣鴨中学校(以上東京)、女子の大妻中学校、白梅学園清修中学校(以上東京)、共学の茨城中学校(茨城)、秀明大学八千代中学校(千葉)、東邦音楽大学附属東邦中学校(東京)となる。
これらのうち共学校は、郊外であったり特別教育(音楽)であったりなので除くとして、男子校と女子校はほぼ人気校である。
また男子校の浅野と巣鴨は、一般のイメージではむしろ管理型学習派と映っているのではないだろうか。面白い現象である。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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