好きな分野以外の問題は、まちがえても見直したり解き直したりしない[中学受験合格言コラム]

好きな分野以外の問題は、まちがえても見直したり解き直したりしない

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


質問者

小6男子(性格:わんぱくなタイプ)のお母さま


質問

理解力はあるのですが、この問題はわかっているからと、まちがえた問題も、あまり好きな分野でないと解説を見ただけで解き直しをしようとしません。


小泉先生のアドバイス

6年生の今の時期こそ、まちがえた問題の見直しや解き直しに時間を割く。

「算数が得意になるためにはどうしたらよいか?」という質問に対して、「できない問題をなくせばよい」と答えたらどうでしょうか。「当たり前じゃないか!」と腹を立てるかもしれませんね。でも、この受け答えは意外に的を射ていると思います。たとえば、「中学受験に出る問題」の集合があったとします。さまざまな単元の、やさしい問題から難しい問題が集まっています。それらを全部解けるようになれば、どんな学校のテストでも高得点をとれるという問題の集合です。そして、受験における算数や数学の勉強とは、ある意味では、そのような集合の問題を一つひとつ解けるようにしていく作業なのだと思います。そこでは、天才的なヒラメキは必ずしも必要ありません。それよりも、「できない問題をなくしていく」という愚直なまでの努力のほうが効果的です。努力を継続できるという能力は、受験において最も重要な才能なのです。

さて、お子さまも「中学受験に出そうな問題」の集合に取り組んでいます。本来であれば、まちえた問題(すなわちできなかった問題)は、解き直しをして次に出た時にできるようにすべきです。でも、自分があまり好きな分野でないと、つい、いい加減になってしまう。これは、本当にもったいない勉強法だといえます。もちろん、問題をまちがえることは受験生にとってはおもしろくないかもしれません。親や先生からよい点数を期待されているわけですから、まちがいは少ないほうがよいに決まっています。でも、最終的な目的は合格であり、そのためには「できない問題をなくしていく」ことが求められているとしたら、試験本番前の今この瞬間にまちがえるということは、本当はすばらしいことなのです。なぜなら、まだ自分ができていない問題が1つ発見できたからであり、それを理解すれば、また1つできる問題が増えるからです。

この考え方は、決して詭弁(きべん)ではありません。生徒にとってまちがえるということは、本当は「おめでとう!」と言いたいくらいの出来事なのです。ただし、それをしっかり復習して次に同じような問題が出たら、解けるように理解しておくことは絶対条件です。同じような問題をまちがえたら「おめでとう!」ではなく、「おめでたい!」と皮肉を言われてもしかたないのです。そして、まちがえた問題をいい加減に放置しておくようであれば、次もやはりできない可能性は高いでしょう。

お子さまの成績を拝見すると、算数はけっこう得意なようですね。今まで努力して、ある程度の問題までは解ける力を培ってこられたのでしょう。でも、好きでない単元にはできない問題が残っているように推測されます。ですから、もしそれらをできるようにすれば、「けっこう得意」が「ずば抜けて得意」になるまで伸びる可能性があると思います。そして、6年生の今こそ、1問でも多くできない問題を減らしていく時期なのです。志望校合格のためにも、ぜひともまちがえた問題の見直しや解き直しに時間を割いて、できる問題に変えていきたいものです。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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