「面倒見の良い学校」考 その2[中学受験合格言コラム]

入学したときの学力に対応して「面倒見の良い学校」の意味する中身は変化すべきで、とりわけ上位難関校はその学習面での意味は薄れ、むしろメンタルなケアにより意義があるということを前回述べた。女子トップと呼ばれる学校の担任の先生の話によると、帰宅後に母親からひっきりなしに生活面の相談の電話が入るそうで、そうした細々した対応をいとわない、という教師の存在も大きい。
しかし、中堅中下位の学校では、ご父母のニーズはどうしても学習面に向かいがちなので、親があれこれ言わなくとも机に向かうように学校のマネジメントをしっかりとしてほしいと願うものだ。

ここでいう学校のマネジメントとは、先生方の士気やチームプレーのことで、そこがしっかりしていないと学習に向かう力が弱くなる。
ところがそこは外からでは見えづらい。もし学校見学の機会があれば、教室での生徒の態度、放課後の過ごし方などを観察してほしい。何かしらルーズであればそれはマネジメントの力が弱いのである。そしてそれはいじめや校内暴力を誘発することにつながるのかもしれない。

とはいえ、やはり小学生に対するように強制力をもった学校の勉強の取り組みがあると、中高生でも否応なく勉強するものだ。女子のカトリック校の多くはそうした方策で学力を伸ばしてきた。それから二番手三番手といわれる進学校があれやこれやの方策(0時限授業<始業時間前の授業>、中間・期末試験の対策、フォロー、個別対応)で尻を叩くように子どもの勉強量を増やし、やはり学力を伸ばしてきた。
そうしたところに比べれば、付属校や上位校は確かにそうした方策をとっていない分、学校の勉強で机に向う時間数は総じて少ないのも実態だろう。その分、塾のための勉強が大半を占めている、ということも偽らざる実状と思われる。

しかし、学校の勉強を脇において、大学受験用に猛スピードのテクニカルな勉強を塾でやる、というのは中堅下位といわれる学校の生徒にとってはムダが多い(二重の負担になる。もっとも学校の勉強は面白くないから、というケースは別だ)。

そうしてみると、かなり計画的にカリキュラムを組んで教材を選び、教室の授業との密度の濃い連携をとる、大学受験を意識した個別の学習指導のような仕組みを考えることが望ましいだろう。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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