再び学校選びの観点について 宗教立別-その5「宗教立?」[中学受験合格言コラム]

宗教立でないように映るけれどその実は宗教立だ、というケースを見てみたい。つまり「宗教立?」とクエスチョンが付くケースである。それだけ宗教臭くないところというべきか。
一番それらしきものは戦後封建的と否定された儒教に基づくもので、『論語』そのものは古典のテキストに使用されたりして広く読まれているものの、正面切って儒教を説く学校は意外にない。

有名なところでは江戸川学園取手中・高等学校の創立時の副校長高橋鍵弥氏が儒教を重視していたし、旧水戸藩校の流れを汲む茨城高等学校・茨城中学校も儒教の徳目を掲げる。いずれも茨城県の学校だ。
東京都では高橋是清が初代校長を務めた開成中学校・開成高等学校、松平の殿様をかついだ本郷中学校・本郷高等学校など武家の関わりのあるところは基本は儒教である。海軍の出自の海城中学校・海城高等学校や攻玉社中学・高等学校、陸軍出自の成城中学校・成城高等学校などもこれに入れたほうがよいかもしれない。

ちなみに儒教は現代の中国で息を吹き返しているのはよく知られている。
神道の流れでは国学院系列校、国士舘中学校・国士舘高等学校などが代表。学習院系列校は戦前の宮内庁立のころは神道系入るけれど、リベラルな私立というスタイルをとる戦後は外れる。
いわゆる「日本教」と言うべきか、我が国の伝統や文化を大切にする流れは、東京女学館中学校・高等学校、実践女子学園中学校・高等学校、跡見学園中学校高等学校、山脇学園中学校高等学校といった伝統系女子校には濃密にあるが、むしろキリスト教系の女子教育への対抗という側面が強く、たとえば東京女学館は戦時中も英語を指導していたように、対抗するがゆえに欧化政策をとるという先進性もある。

面白いのは現在月刊『現代』に連載されている立花隆の「私の護憲論」に、敗戦後の占領軍のマッカーサー司令部の有力者にも天皇周辺にもクエーカー教徒がいて、いわばクエーカーネットワークがあったと書かれている。あの「人間宣言」の作成に関わった文部大臣(当時)前田多門も、皇太子(現在の天皇)の家庭教師を務めたバイニング夫人も、マッカーサーの幕僚のフェラーズ准将もクエーカーで、このフェラーズ准将の人脈に恵泉女学園中学・高等学校の創立者河合道子がいるのだそうだ。

クエーカーは立花氏が書いているとおり徹底した平和主義で、河合と親交のあった鴎友学園女子中学校・高等学校も従って平和主義に強く共鳴する学校文化になっている。恵泉はともあれ鴎友などは無協会派の信徒立であるためキリスト教学校のイメージは淡い。東海大系列校もこの点は無協会派の信徒立と同じで、創立者の松前重義氏の社会民主主義が下地になっている。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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