算数の弱点は「まねる」ことで補強[中学受験]

「まねる」作業から「考える」回路へ

「学び」の語源は「まねび」であり、「まねび」とは「真似び」のことであるという。
つまり真似をすることなのだが、特に算数は「理論的思考」といったイメージが強いためか、「まねる」前に「考える」ことに重点を置きがちである。これが算数の苦手をつくる原因となっているのではないか。
まず「理論的」に考えろというが、こういった思考能力は小学生の高学年から中学生にかけて飛躍的に発達するようである。しかし発達には当然、個人差がある。つまり奥手の子に「理論的に考えろ」と言っても、一朝一夕にはできない場合がある。
また「ごく普通の生徒」が未知の解法を思いつくことは、まず不可能と言ってよい(「ごく普通の生徒」とは、御三家レベルに努力によって合格した多くの生徒も含める)。いわゆる天才的なヒラメキをもつ生徒を除き、大多数の生徒は一つひとつの問題の解き方を「まねる」ことで、やっと解けるようになるのである。
そしてある程度「まねる」ことができてきたと思えたら、同じような問題(つまり類題)で、本当に「まねる」ことができるようになったかチェックするのだ。
類題が解けない場合はどうするか? 当然、類題の模範解答をなぞりながら再び「まねる」ことになる。
そして、前の問題と今回の類題とどこが同じで、どこが違うのかを確認するのである。これらの作業を行うには多くの演習時間が必要になるが、こうした「まねる」作業を通じて、受験生は初めて「考える」という回路が頭の中に組み込まれていくのである。

「まねる」とは解法を「覚える」こと

さて算数では「まねる」ことが大切であると述べたが、もっと突き詰めれば、「まねる」とは解法を「覚える」こと、つまり「暗記」と同じと言ってよい。
「算数は暗記」と表現すると何か邪道なような感じもするが、「内容を理解しながら覚える」と言い換えれば少しは納得できるかもしれない。
それでは「どんな問題を暗記するのが一番良いのか?」と言えば、その単元の代表的な問題である。そしてそういった問題は、一般的に「例題」と呼ばれているのだが、この「例題」を解けるように暗記するだけでも随分と点数が違ってくる。
たとえば大きめのカードの裏表に、例題の問題とその答えを貼り付け、リングで留める。そして英単語を勉強するように、できた問題はリングから外し、できなかった問題は解答を確認して(ここで暗記をし直して)後ろへまわす。
こうやって最後の一枚がリングから外せたらすべての単元の例題が終了したことになる。この時点では少なくとも偏差値は50以上にはなっていると思うので、「算数がまったくの苦手」という状態からは脱しているのである。
「算数が苦手」を嘆く前に、実は「算数の演習不足」を反省すべきであろう。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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