今すべきことは何か?[中学受験]

 “受験態勢を確立する”の1つの要件に、「自分のすべき学習内容が分かっている」がある。5月の時点では、「夏休みまでにしておかなければならないこと」といった意味で十分だが、それらを意識して学習に取り組むことでより集中力を増すことが可能になる。それでは夏休みまでに何をしておく必要があるのか?と言えば、「弱点の補強」と「弱点を作らない」の2点が考えられる。多くの塾では1学期中に全カリキュラムを終了し、夏休みには積み残した単元や弱点単元の補強及び入試問題演習に入っていく。ということは、1学期中はカリキュラムの最後の方を学習しており、内容的にもかなり難しくなってくると思われるので、分からない事柄をそのままにしておくとすぐに「苦手単元」になってしまう可能性がある。疑問点はその日のうちに解消し、少なくとも“全単元の基本的な内容は理解した”にたどり着く必要がある。もちろん今まで学習してきた単元に関しても、弱点を洗い出して補強しておく必要はある。苦手単元の洗い出しは前にも述べたように模擬試験の結果を見ればわかる。

 ところで各単元に対する苦手だけではなく、お子さまが根本的な弱点をかかえている場合もあるので注意したい。例えば「計算が遅い」という弱点があったとしたら、早急に対処しなければならない。なぜなら、他の生徒が3問解く間にお子さまが2問しか解けないとすれば、お子さまの算数の演習量が大幅に減少してしまい、差がどんどん開いてしまう可能性があるからである。対処としては、計算の演習問題を短時間(20〜30分程度)毎日やらせると良い。「算数の解き方の手順が良く分かっていない」なども根本的な弱点と言って良いだろう。例えば、「相似」は得意だが「立体」は不得意という生徒は比較的問題は無い。こういった生徒は、「立体」の問題を解くコツをまだ理解していないだけだから、テキストに戻って基本事項の理解を行い、問題演習をこなせば良い。ところが「相似」も「立体」も含めて図形の問題全体が苦手というのなら、おそらく図形の問題に対する根本的な解き方の手順に問題があると考えられる。例えば問題に問題文と図がある時、問題文の中にある条件で図に示されていない条件をすべて図に書き込んで、図で考えるというのが図形問題を解くときの基本だ。しかし図形が苦手な生徒の中には問題文を読み、次に図形を見て、また問題文を読むという具合に、文章と図を行ったり来たりしながら考え込んでいる子が多い。これでは解法のための糸口が見えてこないのである。

 算数における根本的な弱点は他にもあるが、少なくともこれらの弱点は今のうちに改善しておきたいものである。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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