短期留学ぐらいで、人生の何が変わるの?

世界はどんどん身近になってきています。お子さまに「今から世界を体験させてあげたほうがいいのかな?」と思いつつも、「でも、短期留学ぐらいで何が変わるの?」と、確信が持てない保護者の方もいるかもしれません。そのような悩みについて、株式会社ベネッセコーポレーション 高校事業部 グローバルサービス開発課の矢竹秀行さんにお話をうかがいました。


留学経験が、将来の選択肢を増やす

 お子さまたちは、私たち大人とはまったく違った世の中を生きていきます。ことグローバル化という視点においては、私たちがすごしてきた中高生時代の経験や実感が、子どもたちにとって実はあまり役に立ちません。

 

お子さまが将来、グローバル社会に対応する人間になるためには、「自分は世界とつながっているんだ」という実感をなるべく早く持つことが第一の出発点にあります。でもそういった実感は、普段の生活の中では、あまり持つことはできません。

 

たとえば大人も含めて、今まで海外に出たこともなくパスポートも持っていないという人が、大学生になったあたりで「海外に留学しよう」「海外の大学に進学しよう」という選択肢をいきなり持つとは考えにくいです。ですが、たった1度でも、たった2週間程度の短期留学でも、「海外」というものに触れた経験があるだけで自分の将来をイメージする選択肢を一つ増やすことができます。もっと言うと、3泊4日程度の海外旅行の経験でさえ、かけがえのない一歩になるといえるでしょう。

 

世界とつながるというと、ハードルはものすごく高いように感じられますが、実は最も高いのは「0から1」へのハードルなんです。低学齢のうちにこの0を1にする経験ができた人ほど、その後の1から10、10から100というハードルを比較的軽々と超えていける可能性があります。

 

 

「0から1」を阻むのは、実は周囲の大人たち?

 もしお子さまから、「短期留学に行ってみたい」と気持ちを打ち明けられたら、親御さんはその効果を心配したり、安全面に不安を抱いたりするかもしれません。もちろんそれは、お子さまを思う自然な気持ちだと思います。しかし、「たかだか2週間の経験に、どうしてそんなに高い金をかけて行くんだ?」と聞かれてしまうと、お子さまは困ってしまいます。「0から1へ、壁を越えたいんだ」という気持ちを理屈で説明するのは、とても難しいからです。

 

たった1度の短期留学で語学力を飛躍的に伸ばして帰ってくるということは、まず考えられないと思います。そういった意味での成果は持ち帰ってこられません。ですが、「行ったら何があるんだろう」「私の英語はどれだけ通用するんだろう」というお子さまの好奇心は、親御さんの「行っちゃダメ」の一言でしぼんでしまいます。何より「0から1へ、壁を越える」という経験も先送りになってしまいます。

 

確かに、親元を離れて海外へ行かせるのは、怖いかもしれません。お子さま本人が、英語力の足りなさに打ちのめされたり、傷ついたりして帰ってくる可能性もないとはいえません。しかし、「若い頃の失敗は将来の宝だ」ということは、親御さんの世代が子どもの頃にも言われていたことです。短期留学も、「失敗という貴重な経験をするための場だ」と大きく構えていただければ、お子さまの背中を押してあげる気持ちにつながるのではないかと思います。

 

 

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