「鎌倉幕府の成立年は?」「プログラミングを教えて」と言われたら? 大人の学び直しに効く15冊

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小学校での外国語(英語)・プログラミング教育がスタート。「自分の時代にはなかったし、子どもに教える自信がない……」という保護者のかたの声をよく聞くようになりました。

鎌倉幕府の成立年を1185年とする説が有力となるなど、保護者世代の認識と変わっていることもあります。そこで注目されているのが、大人世代の《学び直し》。保護者のかた自身の知識をアップデートし、お子さまの学習にも役立つおすすめ本15冊を紹介します。

親にも子どもにも役立つ! 学び直しにおすすめ本15冊

ここでは、大人の学び直しに評判のよい本を教科別に紹介します。お子さまの宿題を見守る時に隣で読んで面白いところを話すと、「勉強の面白さ」を伝えられる効果も期待できます。

・数学(算数)の学び直しにおすすめの本2冊

お子さまの苦手教科といえば、今も昔も「数学(算数)」が定番。苦手意識を持つ保護者のかたも多い教科です。紹介するのは、数学の面白さを感じられる2冊です。

『解きたくなる数学』(佐藤雅彦・大島遼・廣瀬隼也著/岩波書店)は、「ピタゴラスイッチ」制作メンバーによる数学問題集。問題集ではありますが、美しい写真とグラフィックで表現され、絵本のような雰囲気。「論理を組み立て、考える」楽しさを伝えてくれる23問が収録されています。「数学なんて実生活では使わないし……」という人にこそ手に取ってほしい1冊。「アメトーーク!」(テレビ朝日系)で、カズレーザーさんが紹介したことも話題になりました。

『数字であそぼ。』(絹田村子著/小学館)は「数学の楽しさがまったくわからない」「数学って公式を覚えるものでしょ?」という人におすすめのコミックス。主人公は抜群の記憶力で京都の名門・吉田大学理学部へ進学したものの、大学の数学についていけず挫折。そこで「本当には数学を理解していなかった」ことに気付きます。数学を身近に感じられる豆知識や、変人だらけの大学生活も魅力的。

・社会の学び直しにおすすめの本2冊

保護者のかたの学生時代とは、大きく変貌した世界情勢。「最近のニュースを子どもに説明できない」からと、世界史や政治について学び直す人が急増しています。

人気の世界史ジャンル、なかでも注目は『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの世界史』(ワークマンパブリッシング著、千葉敏生訳/ダイヤモンド社)。累計700万部突破の参考書シリーズ「天才ノート」の日本語版です。手書きノート風でありながらごちゃごちゃし過ぎず、読みやすいデザイン。最古の人類から最新の世界まで、一気におさらいが可能です

「ふだん政治の話をしないので、子どもに聞かれると困ってしまう」なら、『10歳から読める・わかる いちばんやさしい 民主主義』(五野井郁夫監修/東京書店)がおすすめ。今さら聞けない「民主主義ってそもそも何?」「日本の民主主義はいつから?」など、イラストの猫次郎とともに学べる政治入門書です。毎日の生活にかかわる、消費税の仕組みについての解説も。

・国語の学び直しにおすすめの本2冊

「なぜそうなるのか?」を考える学習内容が増えたこともあり、すべての教科において国語力は重要です。数学の問題を解く際にも、長い文章題を読み解く力が必要になっています。

学校の宿題でも仕事でも文章を書く場面は多いです。文章を書く練習は読解力UPにもつながりますが、「文章は書けるけど、わかりやすい文章を書くコツは知らない」という人も多いですよね。『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(藤吉豊、小川真理子著/日経BP)では、「文章をシンプルに」「逆三角形型(結論から書く)」などすぐに使えるノウハウが紹介されています。

適切なコミュニケーションや、文章を組み立てる際に役立つ「ロジカルシンキング(論理的思考)」。近年よく聞く言葉ですが、できている自信はない人も多いのではないでしょうか。『こどもロジカル思考 なぜ論理的に考えることが大切なのかがわかる本』(茂木秀昭監修、バウンド著/カンゼン)では、主観的と客観的の違いや「MECE(ミーシー)」「PREP(プレップ)法」などロジカルシンキングに役立つフレームワーク(考えるための公式)がわかりやすく解説されています。論理的な考えを妨げるさまざまなバイアス(思い込みや先入観)を持っていないか、セルフチェックしてみてもよいでしょう。

・英語の学び直しにおすすめの本2冊

学び直しの定番教科、「英語」。世界のニュースがSNSでリアルタイムに入ってくることや子どもの英語学習をきっかけに、新しく始める人も増えています。

SNSで更新中のイラストと英語情報が大人気! こあらの学校の『これを英語で言えるかな? こあら式 意外と知らない英単語図鑑』(こあらの学校著/マガジンハウス)。「インスタ映えする」「おならする」など日常で使える英語表現がたっぷり。「こあたんのイラストとセットだから覚えやすい」と評判です。

「日常的な英会話には中学英語で十分」と聞くことがありますが、実際には難しいと感じる人も多いでしょう。『英語のハノン 初級 ——スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル』(横山雅彦、中村佐知子著/筑摩書房)は、基礎的な英文法を復習し、ピアノの教則本「ハノン」のように反復練習するためのドリル。音声データはストリーミングかダウンロードで入手します。何回もくり返して、しっかり「できる」を手に入れたい人に人気を集めています。

・理科の学び直しにおすすめの本1冊

ニセ科学やデマに惑わされないためにも、理科の知識はますます重要になっています。

『絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている』(左巻健男著/ダイヤモンド社)は、万部突破のベストセラー。火や核物質の発見など人類を動かした化学から、世界の歩みや偉人のエピソードにも触れられる楽しい本です。『Newton9月号 科学名著図鑑』、科学の名著100冊に選出されています。

・SDGsの学び直しにおすすめの本1冊

さまざまな教科の文章題などにも登場し、お子さまが学んでいるSDGs。環境保護だけではなく、貧困や飢餓をなくすことなどもめざしています。

『新時代の教養 世界がぐっと近くなるSDGsとボクらをつなぐ本 ハンディ版』(池上彰監修、モドロカ画/学研プラス)は、マンガと図解でSDGsをわかりやすく解説。日本の貧困率は世界的に見て高いことなども説明されているので、身近な《自分ごと》として考えることができます。

・プログラミングの学び直しにおすすめの本3冊

小学校でのプログラミング教育がスタートしたことで、教養としてプログラミング学習を始める保護者のかたも増えています。プログラミング教育で重視されているのは、技術よりも思考力・判断力・表現力などの「プログラミング的思考」。プログラミング言語の習得の前に、コンピュータやプログラミングに関する知識を取り入れることも大切です。

「そもそもプログラミングって何?」というかたにもおすすめしたいのが、『いちばんやさしいプログラミングの教本 人気講師が教えるすべての言語に共通する基礎知識』(廣瀬豪著/インプレス)。コンピュータの機能やプログラミングで身に付く論理的思考力や問題解決能力など、プログラミングを学んでいくためのヒントが得られます。

『野田クリスタルとあそぶ! PythonプログラミングBOOK』(野田クリスタル著/宝島社)は、《野田ゲー》が人気の野田クリスタル(マヂカルラブリー)さんによるプログラミング本。プログラミング言語「Python(パイソン)」を使用しますが、付属のCD-ROMに完成版のゲームが収録されており、初心者でもパソコンでのゲーム作りを体験できます。

お子さまのプログラミング学習対策として、自身のプログラミングスクールへの入学を検討する保護者のかたも増えています。その際注意したいのは、大人向けのプログラミングスクールと子どものプログラミング教育では学習内容が異なること。大人向けのプログラミングスクールは実務を意識しているため、本質的な理解なしにプログラミング言語の文法のみを教えることがあります。その場合せっかく学習しても、「違う言語になるとまるでわからない……」状態になってしまうかもしれません。

プログラミングの型ではなく意味の理解を進めたいなら、『日本語だからスイスイ作れる プログラミング入門教室』(クジラ飛行机著/マイナビ出版)はいかがでしょう。中学校の教科書で採用された「なでしこ」というプログラミング言語を使って学習します。日本語なので、「自分がコンピュータにどのような命令を出しているのか」をつかみやすいです。プログラミング学習の定番「Scratch」で子どもたちがどんなことを学んでいるかを理解する手助けにもなるでしょう。

・道徳の学び直しにおすすめの本1冊

小学校では2018年度から「特別の教科」となった道徳。授業では「考え、議論する」ことが大切だとされています。

『こども倫理学 善悪について自分で考えられるようになる本』(佐藤岳詩監修、バウンド著/カンゼン)は、「平等」や「正義」など、子どもも大人も答えを迷う問題について親子で学ぶ本。「戦争に正義はある?」「SNSに悪口を書くことは?」など、一言では答えられないテーマが登場。より深く考えるための、言葉や考え方も紹介されています。

・お金の学び直しにおすすめの本1冊

2022年度より、高校での金融教育の授業内容も拡充。お金の知識の必要性を感じている保護者のかたも多いのではないでしょうか。

『小学生から知っておきたい 使い方 貯め方 増やし方 守り方 マンガでわかる お金の本』(森永康平著/大和書房)は、マンガで手軽に読めるお金の本。株式投資をする小学生も登場し、ゲーム課金、手伝いお駄賃などお金の使い方について親子で学べます。「プリペイド型」「ポストペイ型」など、なんとなく使っている電子マネーについてもしっかり解説されています。

まとめ & 実践 TIPS

楽しみながら学び直しができるおすすめの本を紹介しました。お子さまの勉強を見守る時期は、保護者のかたにとって学び直しのチャンスでもあります。「今さら……」と敬遠せずに知識を取り入れてみれば、きっと新しい発見があるはず。ぜひ、学び直しにチャレンジしてみてください。

執筆/樋口かおる

プロフィール

樋口かおる

ライター&グラフィックデザイナー&編集者&駄菓子屋さん&落語会主宰。早稲田大学商学部卒。プログラミングとゲーム制作は息子と勉強中。

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