本が好きな子もそうでない子も!読解力を高める「読書」のススメ

学習の土台にもなる「読解力」。
OECD(経済協力開発機構)のPISA(生徒の学習到達度調査)では、「読書への熱中度」と「読解力」に関係があることもわかっています。本が好きな子はもちろん、そうでない子でも、読書で「読解力」は高めていけるのでしょうか。
「読解力」について長年研究している東京学芸大学 准教授の犬塚美輪先生にお話を伺いました。

この記事のポイント

「ジャンル」を広げれば、子どもの世界も広がる

本が「好きな子」と「そうでない子」では、読書の進め方に違いがあります。
本が好きな子は、放っておいても自分から読みます。親ができることは、読みたいと言った本をどんどん買ってあげたり借りてあげたり、読みたいだけ読ませてあげることだと思います。

「特定のジャンルしか読まない」という子の場合は、最初は好きなジャンルの本を好きなだけ読ませてあげたらいいと思います。そのあと、違う種類、ジャンルの本を読む経験もぜひ積んでもらいたいです。

少し前のPISAの調査でも、成績と関係があるのは、「読んだ本の量」よりも「いろいろなジャンルの本を読むこと」という結果が出ています。つまり、多様な本を読むことも重要なんですね。

ジャンルに偏りがあると、文章を読み解く時に、その内容をひととおりの枠組みでしか解釈ができないかもしれません。違うジャンルの本に広げていくよさは、そこにあると思います。だからと言って、ジャンルを極端に絞る必要もありません。「この分野はもう十分だからこっちの本を読みなさい」と言って親が絞ってしまうと、読むこと自体が楽しくなくなってしまうからです。

ジャンルを広げていく時には、おうちのかたが「好きな本を読んでいいよ」と声をかけつつ、「今日はお母さんおすすめの本にもチャレンジしてみない?」といった言葉で、子どもの世界を広げてあげるとよいでしょう。

大人がまずはお手本になって、本を読む

本があまり好きではない子の場合は、いきなり「読みなさい!」と本を渡すのでは、苦行になってしまうので、大人が「本は面白い!」と、まずは読んでいる姿を見せてあげることが大事です。また、一緒に書店や図書館に行って、「ここからここまでの本の中で、読みたい本があればどれでも選んでいいよ」と「子どもに選ばせる」というのもよいかもしれません。人は自分が選んだものに対しては、やる気が出るものです。

あとは、マンガを読むのもよいでしょう。紙の本を読む経験になりますし、マンガから入って、興味を持ったのでそのままノベライズ版も読んでみるということもあるかもしれません。「読むこと」で、頭の中にその世界を再現する練習が、読解力にとっては大事です。「マンガばっかり読んで!」と言うのではなく、まずはどんどん読ませて、そこから広げていくことを考えるのがよいと思います。また、読むのが好きでない子は、自分からなかなか本を手に取らないので、「友達が読んでいる」といった、読むきっかけを逃さないことも大切です。シリーズ本であれば、「続き読んでみる?」といった声かけも効果的ですね。

親子で同じ本を読んで、互いに話すことがおすすめ

子どもが本を読み始めたら、ぜひおうちのかたにやっていただきたいことは、親子で同じ本を読み、内容について話すということです。「どんなところが面白かった?」「魅力的な登場人物は誰だと思う?」といった話を親子ですることで、頭の中に残っている世界を共有することができます。これには2つの意味があります。

1つは、要約する力がつくということです。どんなストーリーだったかを話すために、内容を正確にとらえるという意味でも、読解力の育成につながります。
もう1つは、面白かったことや好きなことについて誰かと話す体験を楽しむということです。楽しい体験は、次の「読むモチベーション」になっていきます。

本好きな子でもそうでない子でも、「楽しんで読書をすること」が、読解力を高める鍵になるということは調査からも明らかになっています。ぜひ親子で楽しい読書時間を過ごしてください。

まとめ & 実践 TIPS

本が好きな子とそうでない子の読書への導き方に、違いがあることがわかりました。また親子で同じ本を読み語り合うことで、読書を「楽しい体験」にすることができ、読解力を高められるようです。

プロフィール

犬塚美輪

犬塚美輪

東京学芸大学准教授。
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。
主な著書に『論理的読み書きの理論と実践 知識基盤社会を生きる力の育成に向けて』(北大路書房・共著)、『生きる力を身につける 14歳からの読解力教室』(笠間書院)などがある。

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