予期せぬ収入減!どうする?いざというときのための家計・働き方・家族の備え方

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コロナ禍では、一時的な収入減で、厳しい状態に陥った家庭も少なくありません。
予期せぬ収入減のリスクに対して、私たちはどう備えておけばよいのでしょうか。
家計管理・働き方・家族の3つの視点から考えてみたいと思います。

この記事のポイント

新型コロナウイルスの感染拡大により、世の中の流れが一変しました。
教育においては、オンライン授業が普及したのもその一つでしょう。一方、オンライン授業が実施されたことで、「子どもの付き添いで、仕事を休まざるを得なかった」保護者もおり、中には「収入が減ってしまった」というケースもあったようです。

最近になり、新型コロナウイルスは落ち着き、対面式の授業に戻りつつあります。
しかし再度新型コロナウイルスの感染が拡大すれば、再び子どもの付き添いなどで仕事に影響が出る保護者も少なくないでしょう。また、オンライン授業の付き添いに限らず、「急な休校(学級閉鎖も含む)」「子どもの病気」「親の介護」などで働けなくなるリスクは、誰にでもあることです。

私たちはこうした問題に対して、どう備えておけばよいのでしょうか。家計管理・働き方・家族の3つの視点からご説明していきます。

子どもの付き添いで収入減に

文部科学省の主導で行われているGIGAスクール構想(※)では、2019年に児童生徒1人1台の端末を整備することを目標に掲げています。
端末の整備は急速に進み、2021年7月末時点での調査結果によると、学習者用端末1台あたりの児童生徒数は1.0人にまで整備が進みました。

※GIGAスクール構想 https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm

こうした端末の普及により、オンライン授業など、学校教育における端末の活用は、今後より一層進むことが想定されます。

またGIGAスクール構想には、ICTを活用した教育において期待される効果に、オンライン教育の積極的な活用によって、子ども一人ひとりの反応を踏まえた、双方向型の授業の実現などが挙げられています。

学校教育においてICTの活用が広がることは、親にとっても望ましいことです。ところが、筆者の取材では、既にオンライン授業が実施された学校に通う子どもの保護者から、こんな声が聞こえてきました。

「子どものオンライン授業のために、仕事を休んで付き添った」
「仕事を休んだことで、一時的に収入が減ってしまった」

低学年の子どもがいる保護者の話では、オンライン授業があると、「親が端末への接続を行い」、さらに、途中で回線が切れてしまうなどのリスクに備えて、「親も最後まで子どもの授業に付き添う」ということもあったそうです。また、「子どもがちゃんと最後まで授業に参加しているか心配だから、親も最後まで子どもの横にいた」という話も聞きました。

国の支援策は期待できない?

コロナ禍では、子どもの学校の一斉休校やオンライン授業などで親が仕事を休んだ場合、小学校休業等対応助成金など、国の補償を受けることができました。
ところが、当然ながらこのような補償がずっと用意されているわけではありません。仮に今後も学校の休校や、オンライン授業などが実施されるとすれば、収入が減ってしまうにもかかわらず、補償が受けられないことも考えられます。

さらに、収入が減るリスクは、子どもの付き添いで仕事を休むことに限った話ではありません。たとえば、「親の介護」「失業」「急な休校や学級閉鎖」「子どもや自分自身の病気」などでも起こり得ることです。
そう考えると、私たちはいざという時に困らないための対策を事前に講じておくことが、望ましいと考えられます。

そこで、具体的な備え方を、家計管理・働き方・家族の側面から提案してみたいと思います。

【家計管理】家計における3つの備え

1. 緊急予備資金をためておく
2.普段から予算の範囲内で生活する習慣をつけておく
3.ボーナスに頼らない家計を構築する

第一の防衛策

まずは緊急予備資金を用意しておくことをおすすめします。
緊急予備資金とは、教育資金や老後資金などの貯蓄とは別に、不測の事態に備えてためておく資金のことです。6か月から1年分の生活費を、普段は出し入れしない銀行口座などに確保しておきます。収入が減ってしまい、家計が回らなくなった場合は、緊急予備資金に頼ることで、ピンチを切り抜けることができます。

第二の防衛策

日頃から安定的な家計運営ができる基盤を作っておくことです。
筆者が考える安定的な家計運営とは、生活費は収入の中から捻出し、支出においては、予算を立てておいて、予算の範囲内でやりくりできる家計をいいます。

具体的には、まず1か月ごとの予算を立てます。
次に1か月の予算を1週間ごとの予算に振り分けて、予算の範囲内で支出を管理するようにします。予算立ては、1か月という長いスパンより、1週間といった細かい単位で立てたほうが、管理はしやすくなります。
実際に、1か月単位で予算を立ててしまうと、最初のうちに予算を使い切ってしまい、不足分を貯蓄から穴埋めすることになったという話もよく聞きます。
できるだけ細かな単位で、予算を立てましょう。

第三の防衛策

脱ボーナス依存の家計を作ることです。
ボーナス依存の家計とは、「毎月の生活費が足りなくなるとボーナスから補てんすることが当たり前になっている」、もしくは、「ボーナス払いで住宅ローンやクレジットカードを利用している」家計を指します。
このような家計は、ひとたび収入が減ってしまうと、家計が回らなくなる可能性があります。
ボーナス依存を脱却するには、住宅ローンのボーナス払いを辞めることや、予算の範囲内で生活する習慣をつくっておくことです。

【働き方】働き方における備え

働き方への備えは、職場の環境が大きな影響を与えるものです。
仮にこれから職を探すというかたであれば、たとえば「休校などの際に取得できる有給休暇制度が設けられているかどうか」「リモートワークができる職場かどうか」「子育てに理解のある職場かどうか」などの視点で探すことを心がけてみてください。

とはいえ、自ら「子育てに理解のある職場かどうか」を見極めるのは難しいことです。
その場合は、マザーズハローワークを利用するのも1つの手です。マザーズハローワークでは、子育てと両立しやすい企業や支援の紹介が行われています。

マザーズハローワークについて
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21046.html

【家族】家族・夫婦間での備え

不測の事態への備えは、夫婦で話し合いながら対策を講じておくことが何より重要です。

筆者取材によると、子どものオンライン授業が行われた際、「最初の数回は端末の操作に不安があり付き添ったけれど、思った以上に子どもの飲み込みは早く、すぐに付き添う必要はなくなった」という話を保護者から聞きました。
子どもの付き添いはずっと続くわけではないようです。子どもがひとり立ちできるよう、「端末を操作する際の決まり事を、子どもと話し合って決めておくとよい」という意見もありました。

一方、子どもの付き添いについては、母親だけではなく、父親でもよいわけです。夫婦で話し合いながら役割を分担するとよいでしょう。
もちろん、子どもの付き添いに限らず、「子どもの急な病気」「親の介護」などで仕事を休まざるを得なくなった場合も、夫婦の協力体制をあらかじめ整えておくことが必要ではないでしょうか。

まとめ & 実践 TIPS

コロナ禍では、一時的な収入減で、厳しい状態に陥った家庭も少なくありません。
しかし、そのときにできる範囲で、子どもに最適な環境を整えてあげられるとよいでしょう。
子どもの教育環境は、今後も変化していくと予想されます。当コラムでご紹介した家計・働き方・家族での備えを参考にすることはもちろん、その都度、夫婦や家族で気軽に話し合えるような環境づくりにも努めていただきたいと思います。

参照資料
●文部科学省 「GIGA スクール構想の実現に向けた端末の利活用等に関する状況(令和3年7月末時点)について(速報値)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_00921.html

●文部科学省 「GIGAスクール構想の実現について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm

小沢美奈子

小沢美奈子

ファイナンシャルプランナー
大学卒業後、損害保険会社にて社員教育、研修講師などを経験。約12年間勤務後、外資系損害保険会社で営業に従事。ファイナンシャルプランナーとして活動開始後はWebや書籍などで記事執筆、セミナー講師、家計相談などを行う。2児の母。著書「本物の節約 残念な節約」(河出書房新社)

プロフィール



メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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