「地球温暖化」の影響と日本の現状を、子どもにきちんと説明できますか?

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時事問題で取り上げることも多い「地球温暖化」。地球温暖化の影響で、どのようなことが生じるのでしょうか。その仕組みや現状を子どもから聞かれた時に、きちんと説明できますか。また、子どもに身近な問題として考えてもらうには、何を教えればよいのでしょうか。ここでは、地球温暖化とその影響、天気予報などを見る際のポイントをご紹介します。

この記事のポイント

地球温暖化とは?その原因は?

地球温暖化とは地球全体の気温が上がること。現在の地球は、これまでの1400年の中で最も暖かくなっており、毎年その気温を更新している状況です。

地球温暖化の主な原因は、化石燃料の仕様や森林伐採といった人間の活動によって大気中に急激に増えた「温室効果ガス」であると言われています。代表的な温室効果ガスは、二酸化炭素やメタンなどです。

温室効果ガスには、気温を上げる効果があります。太陽からの光で暖められた地球の表面からは、地球の外に向かう赤外線が出ていますが、温室効果ガスはそうした赤外線の多くを熱として大気に蓄積させてしまうのです。その結果、地球の地表付近の大気が暖められてしまうという仕組みです。

地球温暖化の影響で起きる現象は?世界における地球温暖化の現状とは

地球温暖化は、地球全体の水や熱のバランスを崩すことにつながります。地球の平均気温が上がるだけでなく、極端な現象が生じやすくなると考えられています。

海の水位が上昇

地球温暖化が進んでいる現在、世界の平均気温は100年あたりで約0.75℃の割合で上がっています。地球全体の気温が上がることで氷河や氷床が溶け始め、海の水位の変化につながっています。

森林火災の発生

極端に暑い日や豪雨になる日が増えたり、逆に全く雨が降らない干ばつが増えたりする現象も。高温や乾燥が続くことで、森林火災も発生しやすくなります。

気象庁の公式ページでは、世界の年ごとの異常気象を公表しています。これを見ると、世界の広い地域で高温になっていることがわかるでしょう。アメリカなどで高温が続いて大規模な森林火災が起こったり、オーストラリアの森林火災でコアラが逃げたりしたことも、近年大きなニュースとなりました。

地球温暖化の影響がどのくらいあるのかは今後も研究が必要ですが、森林火災は温暖化の影響を感じ出せる代表的な事例です。

日本で見られる地球温暖化の影響は?

日本の平均気温も、100年あたり約1.2℃の割合で上昇しており、1990年以降では高温の年が多くなっています。

猛暑日や熱帯夜の増加

最近約40年に限っても、1日の最高気温が35℃以上となる「猛暑日」や、夜間の最低気温が25℃以上となる「熱帯夜」が増加。2018年の猛暑は温暖化がなければ発生する可能性が極めて低かったという研究結果もあります。

東京に接近する台風の数が増加

1時間に80mm以上の雨が降る「猛烈な雨」も増えています。これが地球温暖化の影響によるものかどうかは今後の検証が必要ではあるものの、増えているのは事実。気温が上がることで空気中に含められる水蒸気の量が増え、雨や猛暑の要因となると考えられています。

また、東京に接近する台風の数も増加しています。過去40年のデータを使った研究によれば、前半20年と後半20年で約1.5倍になっているとのこと。要因として考えられるのは、気圧配置の変化や海面の水温の上昇です。

大きな水害をもたらしている「線状降水帯」にも注意が必要でしょう。発生頻度としては西日本の太平洋側と九州で多いといわれますが、全国で起こる可能性があります。

線状降水帯は積乱雲が次々に発生して線状に連なってできる現象。同じ場所で数時間にわたって強い雨が降り続き(集中豪雨)、水害が発生する可能性も高くなります。地球温暖化の影響で九州の線状降水帯を含む大雨をより激しいものになるのではないかという研究結果がありますので、今後も気をつけなければなりません。

今は線状降水帯の発生を正確に予測することが難しく、研究が進められている最中です。

地球温暖化の影響で未来の日本はどうなる?

環境省は、このまま地球温暖化が進んだ場合の日本の未来について「2100年 未来の天気予報」を公開しています。

未来の天気予報によれば、猛暑日がさらに増え、京都、熊谷、名古屋、東京では年間で60日以上が猛暑日になるとのこと。夏の最高気温は40℃以上となる地域がほとんどです。気温40℃は、すでに人間が屋外で活動するには危険な温度です。

また、「スーパー台風」と呼ばれる非常に強い台風も日本に接近しています。天気予報に登場したスーパー台風の中心気圧は870hpa(ヘクトパスカル)で、1959年9月に全国に甚大な被害をもたらした「伊勢湾台風」よりも強い台風です。

このまま地球温暖化が進めば、極端な現象の増加や台風の移動速度の減少などによって極端な高温により健康を害する人が増えたり、災害がより発生しやすくなったりする恐れがあります。

気象庁の臨時記者会見は「ヤバい」!天気予報を見るポイント

地球温暖化は気候に影響を与え、日本では猛暑日や集中豪雨が増えたり台風の影響をより受けやすくなったりする可能性があります。被害をなるべく抑えるには、普段から災害に備えなければなりません。

防災には食料や日用品の備蓄や危険地帯・避難場所の確認が重要。それに加えて、日々の天気予報やニュースを見るときも、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

「大気の状態が不安定」「ところにより雷」「竜巻」は要注意

まず、天気予報などを見たときに「大気の状態が不安定」「ところにより雷」「竜巻」といったキーワードが出てきたら要注意。積乱雲やスーパーセルが発生する可能性があり、集中豪雨や落雷、落雷による停電、竜巻による被害が生じるかもしれません。

気象庁の臨時記者会見と雨量情報

また、気象庁が臨時記者会見を開いたという情報を見たら「ヤバい」状況です。気象庁が臨時記者会見を開くのは、大規模な災害が予想されるときや、すでに発生していてもおかしくないとき。自分の住む地域が含まれていたら、「本気で備えて安全確保」に動いてください。

素早い避難のためには、日頃から住んでいる地域のハザードマップを確認しておくことが大切です。気象レーダーの雨量情報で雨の量や移動する方向などを確認する習慣もつけておくと、いざというときに適切な情報収集ができるでしょう。

気象レーダーの雨量情報は、「ナウキャスト」などで検索すればスマホでも見ることができます。お子さんと見るときは「ここで強い雨が降っているね」「こっちの方向に動いてるね」などと一緒に確認してあげるとよいでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

地球全体の気温が上昇する地球温暖化。地球温暖化の影響によって地球の水や熱のバランスが崩れ、極端な高温になったり線状降水帯を含む大雨の発生につながったりしています。

お子さんに地球温暖化の影響について教える際は、気温だけでなく天候の変化も説明するとわかりやすいでしょう。地球温暖化への対策、防災対策を進めながら、被害から身を守るために日々の天気予報や雨量情報を上手に活用してください。

『すごすぎる天気の図鑑』KADOKAWA
雲、雨、雪、虹、台風、竜巻など空にまつわる、おもしろくてためになる知識をやさしく紹介。『天気の子』気象監修者・荒木健太郎さんが教えてくれる、とっておきのネタが満載です。

プロフィール

荒木 健太郎(あらき けんたろう)

雲研究者、気象庁気象研究所研究官、博士(学術)。
専門は雲科学・気象学。防災・減災のために災害をもたらす雲のしくみの研究をしている。
映画『天気の子』気象監修。NHK『おかえりモネ』気象資料提供。MBS/TBS系『情熱大陸』など出演多数。主な著書に『世界でいちばん素敵な雲の教室』(三才ブックス)、『雲を愛する技術』(光文社)、『雲の中では何が起こっているのか』(ベレ出版)、気象絵本などがある。Twitter:@arakencloud

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