【Q&A】「孫の学費に」と我が家への援助を考えている祖父母。普通に振り込めばいいの?税金はどうなる?
- 教育費
「孫の学費を援助したいんだけど」と祖父母のかたから提案があった場合、大変ありがたく思う一方で「援助は具体的にどう進めてもらえばいいのかな?」と疑問に思う保護者のかたもいるでしょう。
今回は、祖父母から孫への教育費の贈与の進め方や、教育費の一括贈与が非課税になる制度について、【Q&A】方式でわかりやすく解説します。
【Q&A】祖父母から孫への教育費の援助はどう進めればよい?
Q1.祖父母から孫への教育費の援助に贈与税はかかるの?
A.教育費の援助は基本的に非課税!
孫から見て祖父母は、親と同様に「扶養義務者」という存在のため、生活費や教育費の援助は基本的に非課税です。ここでいう教育費とは、学費や教材費、文具費などを指します。
また、祖父母から孫への生活費や教育費以外の贈与は、贈与税の対象になりますが、年間(1月1日~12月31日まで)の合計が110万円以下の場合は贈与税がかかりません。この110万円の贈与税基礎控除を利用できる贈与方法を暦年贈与といいます。
Q2.孫の教育費の援助金は祖父母が子や孫の銀行口座に振り込んでいいの?
A.保護者のかたやお孫さんが普段使っている銀行口座への振り込みは△!
祖父母から孫への教育費の援助は、その援助金が教育費であることを明らかにしておく必要があります。
そのため、保護者のかたやお孫さんが普段使っている銀行口座に、祖父母のかたが普通にお金を振り込むと、それが本当に教育費であったとしても、何のお金が贈与されたのかがわかりません。
そこでおすすめなのが「専用の銀行口座を用意する」ということです。次の質問で詳しくご説明します。
Q3.祖父母から孫への教育資金のよい渡し方は?
A.祖父母が直接学費などを振り込むか、専用の銀行口座を使用する
前述したように、祖父母から孫への教育費の援助は、そのお金が教育費であることを明らかにしなければなりません。
そこで、「祖父母から孫への教育費」を透明化するおすすめの方法は……
・祖父母が直接学校などに学費を振り込む
・専用の銀行口座を使用する
の2つです。
1番わかりやすいのは、祖父母が直接学費を学校に振り込む方法ですが、学校によっては保護者名義の口座から振り込みを指定している場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
祖父母が直接振り込みができない場合は、「祖父母から孫への教育費を贈与するためだけの口座」を開設しましょう。入金されたお金を学校からの引き落としや振り込みだけに使用することで、孫への教育費の贈与ということを証明できます。
注意点としては、教育費の贈与は、入学や学費の支払いの際にその都度行うということです。たとえば、小学校から大学までの教育費として一括で1000万円入金すると、一度にすべて使いきれず、残りの金額が教育費の贈与だと証明できません。
教育資金贈与が非課税になるためには、教育費が必要なタイミングでその都度贈与するということを覚えていてください。
Q4.学費を直接振り込んだり専用の口座を使うのは少し手間……もっと簡単な方法はないの?
A.年間110万円まで贈与税がかからない暦年贈与を活用しよう!
前述にもあるように、暦年贈与を活用すると、贈与額が年間110万円以下の場合は贈与税がかかりません。名目を教育費とすることはできませんが、子や孫の銀行口座に直接送金できる手軽さがメリットといえるでしょう。
贈与税を非課税にするためには、贈与を受け取る人の合計贈与金額を110万円以下にする必要があります。祖母から100万円、祖父から100万円を一人の孫に贈与した場合、合計贈与額は200万円になるため、基礎控除である110万円を超した90万円分が贈与税の対象となるため注意が必要です。
お孫さんにほかの贈与がないか確認しながら、贈与額を年間110万円以内にするのが、祖父母と孫の両者に手間がかからない教育費の援助方法の一つといえるでしょう。
ただし、毎年同じ金額の贈与を繰り返した場合は「定期贈与」とみなされ、年間合計贈与額が110万円以下だとしても贈与税の課税対象となる可能性があります。
たとえば、毎年100万円を10年間贈与すると決めて贈与を行った場合、贈与合計額の1,000万円が贈与税の課税対象になります。そのため、贈与の金額や時期は毎年同じにしないほうがよいでしょう。
令和8年(2026年)3月31日までは教育資金の一括贈与非課税制度が利用できる
Q5.祖父母から孫へ教育費をまとめて渡したい時はどうすればよい?
A.教育資金の一括贈与非課税制度が利用できる
お孫さんの教育費を一括で渡したい場合は、最大1,500万円までの教育資金の一括贈与が非課税になる制度があります。平成25年4月1日から開始した制度で、令和8年(2026年)3月31日までに行われる贈与が対象です。
制度の利用方法は以下の流れで行います。
1.金融機関で教育資金口座の開設
2.教育資金非課税申告書を金融機関に提出
3.教育資金非課税申告書を金融機関が税務署に提出
4.開設した口座へ贈与する教育資金を入金
5.口座から教育資金の支払いや払い出しをした場合は領収書等を金融機関に提出
注意点は、
・制度の対象となるのは30歳未満の孫
・孫が23歳になった時点で、習い事などの費用に利用不可
・教育費以外で使った分は贈与税の対象
・使い切れなかった金額も贈与税の対象
の4つが挙げられます。
教育資金口座の開設や領収書の提出といった手間はかかるものの、相続税対策としても有効な方法ですので、教育費を一括で贈与したい祖父母のかたは、検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ & 実践 TIPS
祖父母から孫への教育費の贈与には、「教育費が必要な時に都度贈与する」「暦年贈与を利用する」「教育資金の一括贈与の非課税制度を活用する」などの方法があり、相続税対策としても有効な手段です。それぞれ併用も可能なので、ご家族に合った方法を話し合ってみてください。
【参考資料】
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
- 教育費