贈与税ゼロ?!祖父母から教育資金の援助を受けるコツ

我が子である保護者世代が子(孫)の教育費負担を重いと感じている様子が見えれば、祖父母としては援助してやりたくもなるでしょう。好意はありがたいものですが、一度にたくさんもらうよりも必要な都度の援助のほうが、あげるほうももらうほうも負担感が小さいかもしれません。

この記事のポイント

1,500万円の贈与枠にこだわる必要ナシ

親子間であっても一定額以上のお金をプレゼントされると、「贈与税」がかかって損をするという知識をお持ちのかたもいることでしょう。

これは、半分ホントで、半分はマチガイです。

贈与税の計算には2つの税率が用意されています。
1.20歳以上の子どもが祖父母や父母から贈与を受けるときに使用[特例税率]
2.親から未成年の子への贈与、兄弟間や夫婦間の贈与などで使用[一般税率]

たとえば、子育て中の保護者または子ども自身が、祖父母から教育資金として500万円の贈与を受ける特例贈与財産の場合、特例税率で計算される贈与税額は48万5,000円です。一般税率での贈与税額は53万円なので、それより少ないとはいえ、約1割が税金となり、手取り額は451万5,000円になってしまいます。

せっかくの祖父母の気持ちを減らしたくはないですよね。

そこで、教育資金限定の贈与であれば、1,500万円まで税金のかからない「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」を利用したくなるところですが、実はこの制度にこだわる必要はないのです。

渡し方・受け取り方に気を付ければ、教育資金贈与に、そもそも贈与税は発生しないからです。

必要な都度の援助で贈与税ゼロ

親子や夫婦、兄弟姉妹はお互いに扶養義務があります。この扶養義務があることから、祖父母から孫へ、祖父母から子である保護者へ、教育資金を贈与しても贈与税はかかりません。

贈与税がかからないのは、日常生活に必要なお金だから。いくらまでならかからない、ということではなく、「その人にとって通常の日常生活に必要な費用」なら贈与ではあっても贈与税はかからないのです。

たとえば、まとめて2年間分の学費を贈与してもらうと、1年間分は贈与税の対象になってしまうということです。

教育費に充てる名目で贈与してもらったとしても、そのお金を預金にまわしたりすると「都度」の贈与ではなくなってしまいます。祖父母が学費を出してあげるよと申し出てくれたのであれば、振込用紙に記載の金額分を、一回一回支払ってもらいましょう。

ただ、毎回、一緒に金融機関に行くのは面倒に感じてしまいそうです。やはり、1500万円までの教育資金非課税枠を使うほうが便利だと思ってしまいそうですが、専用の口座が必要だったり、教育費の支払いがあるたびに金融機関と厳密な書類のやり取りがあったりしますから、そちらの手間に比べると都度払いのほうが楽かもしれません。

都度払いのメリット

我が子にかかる教育費は、子育てが終わってみないとわからないものです。ただ、いくつかの統計から、オール公立で1,000万円近く、オール私立で医学部だと5,000万円でも足りないかもしれないという、かなりの金額ということはわかります。

だからこそ、祖父母にゆとりがあるのなら、まとまった額の贈与をしてもらえれば安心できそうな気がします。非課税枠の上限いっぱいの1,500万円でなくとも、少しでも早く100万円でも30万円でもと思ってしまいそうです。

さらには、教育費に限らず、3世代で遊びに行く費用を祖父母に負担してもらったり、お年玉やお盆玉(見慣れない言葉ですが、祖父母が夏休みに会った孫に渡すおこづかいのことのようです)を奮発してもらったり、祖父母の財布への期待をする場面は多そうです。

けれど、ちょっと考えてみましょう。

お金を出せば、口も出す……という風になって、困ることはないでしょうか。

教育資金として援助してもらったら、子どもの日頃の学習態度や進路の選択に、ちょっとしたアドバイスどころか、がっつり意見を言うケースもあります。祖父母の意見に賛成しかねると、一度は出してくれた資金を返せということもあり得ます。

都度の援助なら、もらう以前に受け取らない選択もしやすいでしょう。

また、まとめて贈与してもらったあとで、祖父母の資金計画が立ち行かないものであるとわかった場合は双方で困ってしまいます。「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」では、いったん贈与したお金を返せないからです。口座にお金が残っていても、です。

援助してもらえるようであれば、日常の生活に必要な費用として、都度の贈与をしてもらうといいですね。

まとめ & 実践 TIPS

祖父母からの資金援助はありがたいものです。ただ、その金額を頼りすぎて、自分たちの意見を言えなくなったり、計画を実行できなくなったりしないようにしましょう。お金はもらうけれど、祖父母の意見には耳を貸さないなどということもあってはなりません。祖父母の生活が成り立つ範囲で、どうしても必要な金額だけを、都度、援助してもらい、感謝の気持ちを忘れないことが、3世代のハッピーにつながるでしょう。

(菅原直子)


「贈与税の計算と税率(暦年課税)」国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm

「贈与税がかからない場合」国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm

プロフィール

菅原直子

「らいふでざいん菅原おふぃす」代表。ファイナンシャルプランナー、教育資金コンサルタント。子育て世帯の教育費を中心としたライフプラン相談、進学資金が不足している高校生と保護者向けの教育資金セミナーおよび親が老後破産しないためのアドバイスに注力中。「子どもにかけるお金を考える会」メンバー。子どもは3人。

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