イランとイラクなど、間違えやすい社会科用語を区別するコツ
- 学習
社会では、似たような間違えやすい用語が出てきます。今回は間違えやすい用語を区別するコツをご紹介します。
「金閣・北山文化」になくて「銀閣・東山文化」にあるものは?
社会では似たような間違えやすい用語が出てきて、それがテストや入試で問われることもしばしばです。社会が苦手な子どもからすれば、似たような用語をどのように区別して覚えればよいか、とまどうかもしれません。そうした場合に区別するためのコツとして、次のようなものがあります。
- 用語に含まれる文字そのものに注目
つまり用語の示す内容の違いではなく、【用語に含まれる文字の違い】に注目して区別する方法です。
たとえば「金閣(鹿苑寺)」と「銀閣(慈照寺)」は、それぞれ室町時代の北山文化と東山文化の代表例です。テストでは「金閣‐北山文化」「銀閣‐東山文化」の組み合わせがよく問われるのですが、【金】と【銀】、【北】と【東】を取り違えることが多いです。しかし【用語に含まれる文字そのもの】に注目すると、確実に見分けることができます。ではここで突然クイズです。
- 金閣と北山文化になくて、銀閣と東山文化にあるものは?
答えは「゛」です。【金】と【北】は濁点がなく、【銀】と【東】は濁点があります。つまり「金閣‐北山文化」「銀閣‐東山文化」の組み合わせは、「濁点がない」「濁点がある」の組み合わせに置き換えることができます。
- 用語の読み方に注目
このように取り違えやすい組み合わせは、【用語に含まれる文字の読み方】の共通点や違いを探しておさえるようにすると、確実に見分けられるようになります。
『枕草子』、書いたのは紫式部?清少納言?
平安時代の国風文化でよく問われる『枕草子』、その作者は清少納言です。しかし同じ平安時代には紫式部の『源氏物語』もあり、「『枕草子』は紫式部」という取り違えもしばしばみられます。そこで次の点に注目してください。
- 用語の文字数に注目
漢字で書くと『枕草子』は【3文字】、「清少納言」は【4文字】です。逆に『源氏物語』は【4文字】で、「紫式部」は【3文字】です。つまり「作品名と作者は、同じ文字数ではない」という関係がみえてきます。
このように用語の文字数は、漢字だけでなく、ひらがなに置き換えてみて、共通点や違いを探してみるやり方もあります。
イランとイラク、どちらが東?西?
では最後に見出しにあげた「イラン」と「イラク」の見分け方です。テストや入試ではその位置関係を問われることが多いので、位置関係を見分けるコツをお伝えします。
「イラン」と「イラク」の位置関係は西が「イラク」で、東が「イラン」ですが、この位置関係をおさえるには、次の点に注目してください。
- 文字の読む方向(左から右、上から下)に注目
- 五十音順での順番に注目
これは【用語に含まれる文字】に注目しつつ、さらに文字を読む方向に位置関係を重ね合わせるというものです。
まず「イラン」と「イラク」は、末尾の【ン】と【ク】が違うことに注目します。
次に「イラン」が東で、「イラク」が西なので、地図上に並べると「左がイラ【ク】」「右がイラ【ン】」になります。
そして地図上に並べた文字を【左から右へ】読むと、【ク】→【ン】は五十音順に並んでいます。つまり次のような関係になります。
このように【用語に含まれる文字】と、文字を読む方向に位置関係を重ね合わせることで、地図上での位置関係も確実に区別できるようになります。
そして「イランとイラク」と同様に、取り違えやすい南アジアの「西のインダス川」と「東のガンジス川」も、同じ方法で区別することができます。「インダス川」の【イ】と「ガンジス川」の【ガ(カ)】に注目して、地図上に並べて左から右に読むと【イ】→【ガ(カ)】と五十音順に並びます。こうすることで「西がインダス川、東がガンジス川」と区別できます。
このように【用語に含まれる文字そのもの】に注目して、その読み方や文字数、読む方向に注目して区別する方法は、あくまでも便宜的なものです。しかし似たような用語に対する理解が浅く、確実に見分けられないときに、「文字の共通点や違いをもとに、覚えやすくできないだろうか?」と考え、自分の知識に取り込もうとする積極的な試みは、他の教科での学習においても役立ちます。
まとめ & 実践 TIPS
間違えやすい用語を区別する際に、用語の文字そのものに注目する方法は、他の教科の学習にも応用できます。覚え方の引き出しをたくさん持ち、自分なりに工夫することで、覚えることが多い学習も取り組みやすくなります。ぜひお試しください。
株式会社プランディット 社会課 十河(そごう)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの社会(地歴公民)の教材編集を担当。
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