空飛ぶ車、20年後にできる? 文部科学省『2020年版科学技術白書』より

2040年の私たちの暮らしは、どのように変わっているのか……。20年度の科学技術白書が、そんな予測をしています。今の子どもたちが大人になるころには、自動運転技術やドローンがより発達し、リアルとバーチャルの調和が進んだ、柔軟な世界が広がっているかもしれません。

人間性と科学技術が融合する時代に

科学技術白書は、文部科学省が毎年発行する、科学技術の振興に関する年次報告書です。今回は、不確実な未来を見通す方法の一つである「未来予測」を取り上げて、文科省の調査をもとに、2040年の未来社会の姿を描いています。
白書は2040年の社会の姿を、「無形・有形」「個人・社会」の観点から四つのカテゴリーに分け、それぞれ社会のイメージをイラストで紹介しながら、この先に実現しそうな技術を紹介しています。

一つ目は「人間らしさを再考し、多様性を認め共生する社会」です。オンライン技術などを用い、遠隔で認知症などの治療や介護ができる「超分散ホスピタルシステム」は、技術的な実現を2028年、実用化を2030年と見込んでいます。また、手のひらサイズの「超軽量センサー」が実用化されれば、感染症への感染の有無などを、どこにいても検知し判断できるようになるといいます。
二つ目は「リアルとバーチャルの調和が進んだ柔軟な社会」の実現です。まるで人がそこにいるかのように振る舞うロボットや、拡張現実の技術を利用すれば、その場に居合わせない人同士が活動する働き方や、遊び方が生まれます。どこでも安全に操作できる自動運転システムや自動運転トラクターによる無人農業、過去の自分自身やビデオゲームのキャラクターなどと競うことができる拡張現実スポーツなど、現在も話題になっている新技術がより洗練され、2030年には製品化されると予測しています。

三つ目は「人間機能の維持回復とデジタルアシスタントの融合による『個性』が拡張した社会」です。橋などの構造物の自動組み立て技術や、職人技をマスターできる人工知能(AI)など、これまで人間にしかできないと思われてきた技術を学ぶロボットの登場を予見しています。

子どもの知的好奇心を膨らませるために

四つ目は「カスタマイズと全体最適化が共存し、自分らしく生き続けられる社会」で、個人のニーズと、社会の持続可能性を両立する新技術が生まれるといいます。ドローンで品物を自動運搬するシステムができれば、無人工場や無人店舗、無人物流倉庫、無人宅配搬送が広がるかもしれません。2033年には、ドローンで人を運ぶ「空飛ぶ車」が都市部で登場すると予測しています。

まとめ & 実践 TIPS

過去の未来予測では、ヒト染色体のDNAの全塩基配列の解析完了など、的中した技術もあれば、深海底にある鉱物資源の採取技術のように、いまだ実現していない技術もあると白書は明記しています。今回の未来予測も、実現により時間が掛かるもの、社会の変化でニーズが小さくなるものもあるでしょう。しかし、夢のある技術は、子どもたちに知的好奇心を持たせ、将来の生き方のきっかけにもなります。新型コロナウイルスで先が見えない時代だからこそ、科学技術のポジティブな側面に目を向けたいものです。

(筆者:長尾康子)

※2020年版科学技術白書
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa202001/1421221.html

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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